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  • 認定経営革新等支援機関(認定支援機関)に登録されました!

    カテゴリー:業務紹介 2015年5月26日 記事番号:943

    経済産業省の認定経営革新等支援機関(認定支援機関)に弊社が登録されました。

    既に本ブログで紹介させて頂いておりますように、弊社では中小企業のオーナー経営者の個人資産を守るために、収益不動産事業による事業再生を支援しております。その支援業務に対する経産省からの補助金を受けることができるのが認定支援機関です。


    昨年までの5年間に大田区内で200坪以上の土地の取引がなされた事例を下図に示します。大部分が中小企業の経営者が、事業資金のために銀行融資を受けるために担保にしていた自宅や工場等の敷地だと思われます。


    かなりの割合でこれらの土地には不動産業者による収益マンションが建設されていました。おそらく事業再生支援できていれば、自宅や工場敷地を手放さなくても済んだのではないかと思います。

    だからそれを助けたいと思っているのです。


    どうぞお気軽にご相談下さい。







  • ーーー本当の企業再生への道(4)---
    「不動産鑑定士が作る実抜計画」

    カテゴリー:業務紹介 2014年8月20日 記事番号:941

    最終的に実抜計画として以下の計画を策定し、バンクミーティングを経てリスケ了解とニューマネーの融資了解を得て、全ての計画は実行に移されることになりました。特に下記のAからEの5条件がキモとなりましたが、不動産鑑定士による実証データに基づく説明により、金融機関での稟議は極めてスムーズに通ったことは当然の結果でした。

     (脚注)
    「バンクミーティング」
      : 債権者会議です。企業再生の場合はもっぱら金融機関と保証協会が出席します。ここでは実抜計画に基づく新たな弁済計画や融資条件について説明され、全行の合意を取り付けることになります。

    「リスケ」
      : スケジュールを練り直すことです。特に重要なのは元本返済の猶予について協議がなされます。通常の融資は元利金等弁済で返済されていますが、債務者の事情でどうしてもキャッシュが回らなくなったとき、新たな手立てを講じるまでの時間的猶予が必要な場合が多いので、その猶予期間は元本返済を待ってもらいます。もちろん利払いは継続しますので金融機関に対しては損をしないような提案をすることが重要です。

    「ニューマネー」
      : 再生企業に対しての追加融資です。そもそも現行債務の弁済が滞っている状況なのに、さらに追加の融資をするというのだから金融機関は抵抗があります。しかし追加融資をすることでキャッシュフローが改善され、現行債務と併せて追加融資分も返済されることが確実視されるなら、通常融資と同じ審査基準で融資を行うことが出来ることになり、融資実行されることを言います。


    (1)純収益の査定
    純収益の査定に当っては、以下の5項目の前提条件を設定しました。

    【前提条件】
    ①競争力は標準的(実質賃料ベースで3,300円/㎡)であると査定する。
    ②剰余金は「借入金利-1.0%」で運用できるものとして積み立てを行う。
    ③「剰余金累積>元本残高」になった時点で一括返済する。
    ④相殺適状の欠損金を節税に最大限活用する。
    ⑤他の条件は以下の通り。

     A.実質賃料は初期3,300円/㎡から5年毎に3%ずつ徐々に低下していく。
     B.共益費は初期8,000円を取れるが、徐々に取れなくなって最終的に2,000円まで下がる。
     C.空室率は初期4%から5年毎に1%ずつ徐々に増大して30年後に10%まで上昇する。
     D.固都税は土地は現在額で一定を仮定、建物は47年間の定額法による推定額とする。
     E.賃料集金等の賃貸管理業務は外部委託しないオーナー管理とする。

    (2)キャッシュフロー計算
     15年目に既存アパートを解体して更地化し、売却収入で累積債務の繰上返済を行います。
     約定金利3.0%は平成30年度まで固定です。貸出金利が「長期金利+1.0%」までで定められると想定した場合、「GDP>長期金利」の国債返済の前提条件を勘案すれば、長期金利が2.0%以上まで上昇することは想定し難いと判断します。このためキャッシュフロー計算に当っては3.0%を上限と考えます。 なお、政府は今後10年間の経済成長(GDP増加率)を年率2.0%と想定していますが、これを上回る成長が生じた場合、金利も想定以上に上昇する可能性がありますので、最大4.0%を想定してその影響を評価します。





    (3)評価結果
     想定される金利上昇局面まで織り込んだキャッシュフロー計画を検証した結果、金利4%までであれば問題なく弁済可能であることを確認しました。

     ケース1:金利3.0%のまま一定で推移した場合
      →29年目の平成56年2月期までに一括弁済で全額を完済する見通しが得られた。

     ケース2:金利3.0%から10年目の平成36年度に金利が4.0%に上昇し、
          その後4.0%で推移した場合
      →31年目の平成58年2月期までに一括弁済で全額を完済する見通しが得られた。


    (4)金融機関へのお願い
    ①弁済スケジュール
     ・信用保証協会付融資については、平成27年5月までの期間、
      返済をご猶予頂き、その後、期間20年に引き直した月額返済額にて
      支援頂きたい。
     ・プロパー融資については、長短の借入金を一本化し、新たな1本の
      長期融資として適切な期間(20年)に切り替えて頂きたい。
     ・その上で、収益マンション竣工までの期間の元本返済を猶予頂きたい。
    ②建設費用の新規融資
     ・収益マンションの建設費用及び付帯費用について、新たな融資を
      お願いしたい。
     ・当該新規融資についても収益マンション竣工までの期間の元本返済
      を猶予頂きたい(利息のみ弁済)。

     こうしてバンクミーティングを経て本実抜計画は了承され、現在はマンション建設が行われています。

    ================================

    「全ては依頼者のため」
     もちろん関係者全員が納得しなければなりませんので、許容できる範囲での協力を得て、誠意のある弁済計画を策定することが重要だと思います。本来は企業再生時に依頼者である社長のわがままは通ることは無いのですが、今回は特殊でした。

    「逃げたらダメ」
     逃げずに誠実に約束を果たしていく姿勢を見せれば、関係者は必ず協力してくれると信じていいと思います。経営者の誠意を果たすためのお役立ちをするのが弊社の役割だと考えています。

     実は過剰な借入金があるというのは、社長の個人資産があるからなんです。
     ある意味幸せなことなんです。
     でもそれを本当に有効活用されているでしょうか。

     騙されてはいけません。
     本当の味方が誰なのか、真剣に良く考えて下さい。

    ==========================================

    写真はノルウェー・オスロのヴィーゲラン彫刻公園で見かけた彫刻の写真です。この女の子の目が凄い。
    何か男の子が悪さしたんですよね、きっと。

    悪いことしたら睨まれてしまいます。
    悪いことしないようにしましょうね。


  • ーーー本当の企業再生への道(3)---

    「二つのメニュー」の謎

    カテゴリー:業務紹介 2014年8月18日 記事番号:937

    実抜計画の詳細を説明する前に、
    「二つのメニューの話」を少し先にさせて頂きましょう。


    実際の実施計画の確定段階に入り、思わぬ障害が生じました。
    A社長が「息子の会社にマンションの設計・施工を依頼したい」と言ってきたのです。せっかく「二方向採光&広い間口」のデザイナーズマンションを設計し、施工見積もりを取り始めた矢先の出来事でした。


    建築予算は設計・監理費等、消費税税込みで340百万円を想定し、全額新規融資を受ける予定を立てていました。既に債権者であるプロパー金融機関にも内定を貰っていた段階でした。


    息子さんの会社は業界大手のハウスメーカーですが、大量製作の大量販売ですから、しょせんその設計能力は、いわゆる「建売住宅レベル」並みでしかありません。

    そこで試しに息子さんの会社に見積もりを要求してみました。
    案の定、4億円を超える価格提示を受けましたので、担当営業を呼んで「そんな価格では幾らA社長の要望があっても受けられないよ。この仕事は企業再生なんだよ、分ってるんですか?」と言い渡しました。


    すると2週間で10%低い360百万円の見積書を持ってきたんです。
    もちろんまだ予算オーバーです。こちらの出方を伺ってきたんですね。
    「予算は340百万円しかないから、諦めなさい」と諭して帰しました。


    なんと翌々日に340百万円の見積書を持ってきました。
    仕様は4億円超のときのままで60百万円の値引きして340百万円にしてきたわけです。


    普通の客なら4億円を呑むんでしょうね。でもどうしても取りたい時には値引くのがどの業界でも普通にされているものですが、なんと2週間あまりで60百万円も値引いてくる、そもそもこの60百万円はなんだったんでしょうね。。。。



    不動産鑑定士である私が「適正価格の上限は340百万円である」と判断していたのに、よくもまあ400百万円の見積書を出してくるものだと思ってたんですが、向こうもこっちが騙されないことを知ると、ちゃんとした価格で出してきます。


    大手ハウスメーカーさんも不動産鑑定士を舐めてたんでしょうね。普通の認定支援機関や企業再生マネージャーさんだったら騙されちゃいますもんね。



    これが前回書いた「二つのメニュー」なんですよ。



    不動産鑑定士は建設費用についても「適正価格」を熟知しているからこそ、「正常価格」を判断する仕事ができるのですから、間違っても依頼主にぼったくりに遭わせる事はありません。

    しかし何も知らない地主さんはこの大手ハウスメーカーさんに4億円以上の建設費用を言われるままに払って建てるわけですね。


    「知らないとぼったくられる」というのは、飲食の世界に限った話ではありません。だから信頼できる専門職業家を味方につけることが必要なんです。


    当時、消費税5%での契約ができるぎりぎりの時期で、どこも配筋工や型枠工が不足していて建築計画が思うように立てられない時期に重なり、中堅建設会社がどこも前向きな見積もり回答をしてくれていない時期だったので、想定していた340百万円以下の普通の見積もりを出してくれる会社が居らず、デザイナーズマンションで建ててくれる会社が見つからなかったのも不幸でした。



    A社長のわがままが通りました。

    弊社は建売仕様の設計では競争力が劣ると判断して期待賃料を下げました。
    プロパー金融機関はリスクを乗せて金利を上げてきました。

    それがペナルティです。

    私も金利については何も言えませんでした。




    ぼったくりの話をもう少しさせて頂きます。
    これは別の大手ハウスメーカーさんでした。


    私の友人が相談に来ました。
    「父が自社敷地にマンションを建てようとしているんですが、某中堅ハウスメーカーが『明日までに契約してくれたら10百万円値引きしますから契約してくれ』と言ってきてるのですが、どうしたら良いでしょう」と。


    内訳書とプランを見て、すぐに分りました。
    「今すぐこの会社を出入り禁止にしなさい」と言いました。
    そしてどこが非常識なプランであり、価格なのかを簡単に説明するメモを渡しました。


    ハウスメーカーは「建てて儲ける」のが仕事です。そもそも営業しないと売れないものを売りつけられるのだから、「誰が儲けるのか」を良く考えないといけないのです。特に「家賃保証します」が曲者です。この話はまた別の機会にお話させて頂きましょう。


    不動産鑑定士こそが地主さんの味方なんです。
    迷ったらまず信頼できる不動産鑑定士に相談してみて下さい。

    もし思ったように相談に乗ってもらえなかったら、弊社に相談して下さいね。

    ただし場合によっては意図してらっしゃらない回答をすることもあります。
    非常識はどこの世界に行っても、やはり非常識なんですから、その点は御了承下さい。


    ==============================================

    今日の写真はタイ料理の中でも私が最高峰だと思っている「パッポンカリー」です。しかも渡り蟹のパッポンカリーは最高中の最高です。

    これが現地バンコクでは千円程度で頂けます。


    実はバンコクでは日本のラーメン店も出店しており、ラーメン一杯で千円位で売られてます。ラーメン一杯の価格でこの品質がいただけるんです。


    もちろん日本でも渡り蟹のパッポンなら2千円前後ですよね。

    東京の某店では6千円なんて法外な価格がついてましたがね(笑)


    適正価格が幾らかを知っていれば、世界中で美味しいものが適正価格で頂けるんです。すなわち「知っていること」が大切なんです。


    知らない人間はどこに行っても、何をしてもぼったくられてしまうんです。
    知らない人間は「知っている人」を頼りにすることが大切です。


    ただね、これは人間として普遍の事柄なんですが、「自分だけ得しよう」と思わないことが大切です。相手を得させるように考えてあげることが重要だと思いますよ。でないと人は離れていってしまうものです。

  • ーーー本当の企業再生への道(2)---

    「多額の債務を抱えている企業は資産活用での再生可能性が高い」

    カテゴリー:業務紹介 2014年8月17日 記事番号:936

    ここでは認定支援機関と共に甲社に対して策定した「実現可能な抜本的な経営改善計画(実抜計画)」に基づく、経営改善計画策定の内容について説明します。


    ========================

    (1)甲社の概要

    ・甲社は平成24年に50期目を迎えた首都圏の地場工務店。主に造園関連工事が主力で、近隣鉄骨アパート等の建築工事も行ってきた。
    ・年商216百万円(H24)、決算書上では常に黒字を継続。
    年商2億円強で短期借入金が116百万円(社長貸付36百万円)、長期借入金が113百万円。固定資産は特にない。
    ・ここ10年の公共事業縮小、および入札制度の変更により、徐々に収益力が低下してきている。
    ・2代目のA社長(70歳)の長男(40歳)は大手不動産会社に勤務し、工務店は継がないと明言。昨年4月、社員に廃業を宣言したため、キーマンとなる社員が次々に退職し、現在は社員4名で営業継続している。

    ・A社長は地元の名士で、相続された300坪超の土地の一部に鉄骨造三階建アパートを建て、駐車場と自宅敷地として利用していた。アパートは築20年を超えていたが、満室を維持しており、その収益を原資として会社への社長貸付が行われてきた。


    (2)甲社の財務状況の実態
    ・売上高216百万円に対して、「未成工事支出金 200百万円」を架空資産計上し、実態として借入金分がほぼ全額債務超過に陥っていた。
    ・公共工事への入札資格維持のために長期にわたってドレッシング(粉飾)が行われ、実際の累積赤字(2億円)は借入金と社長貸付で埋め合わせられていた。
    ・債権者である金融機関は乙銀行だけにほぼまとめられており、乙銀行は資産家であるA社長の個人資産の担保能力を見て、長期にわたって貸し付けに応じてきていた。



    (3)検討した対策案とその検討結果
    ①全資産売却
    自宅敷地およびアパート敷地を更地化、一括売却すれば、マンションデベロッパーに2.5億円~で売却可能。売却後の手取りは5千万円程度の見込み。
     →先代からの土地を守りたいので全部売却は抵抗が大きい。
    ②事業譲渡
    株式譲渡は引き受け手がない。
    事業譲渡で~5百万円程度の買手があった。
     →そのような低額なら細々でも自分で事業継続する。
    ③収益マンション事業への転換
    建設工事事業から収益マンション事業への転換を行う。
    →金融機関の追加融資を受けるためには緻密な計画が不可欠。弁済計画の確実性を高めるために、収益最大化できる建物の設計を行う必要がある。そのためには同一需給圏の売買・賃貸の市場分析を十分に行って最有効使用を判定すると共に、収益見込みについても地域性を十分に反映した賃料見通しを得る。


    (4)マンション設計の留意点
    ・基準建ぺい率60%限度の建築面積で200%の基準容積率を活用するための最有効使用の観点からは6階建の高層マンションと判断した。条例に基づく駐車場附置義務を回避するために、開発面積を500㎡未満に分筆し、1階部分も駐車場でなく貸室として有効活用する。
    対象地はやや駅からやや離れている(賃貸を請けている不動産屋の表示距離は徒歩10分だが、実際の道路距離は徒歩13分である)立地条件を考慮してワンルームとせず、競争力の観点から二人入居が可能で、かつ賃料が10万円以下(別途共益費)となる1DK(30㎡程度)とする。
    ・RC造6階建の高層マンション(全32戸)とする。
    ・間取り設計においては市場分析結果を反映して、二方向採光を基準とし、各戸の間口を5m以上確保するなど、競争力の高い設計とした。



    このように最適設計されたマンションによって、再生計画を立案した。

    その結果は次回に紹介します。



    =================================

    表紙の写真はかの有名なラッフルズホテルのシンガポールスリングです。

    シンガポールにあるこの有名ホテルのロングバーでは、殻付落花生が枡に入れられて出てきます。そいつを手で剥いてピーナッツを取り出して食べるんですが、殻は無造作に床に落とすのがここの流儀です。


    さて、このラッフルズホテルには実は二つのメニューが存在します。

    一つは現地の方用、そしてもう一つは観光客用です。


    前回行ったとき初めて気づきました。と言うのは、最初は現地用のメニューが出てきて注文し、勘定するときに値段が違うので確認のために見せられたのが観光客用メニューでした。

    最初に給仕したお店の方が間違えて現地用のメニューを私に出してしまったんですね。


    知らないとぼったくられるのです。

    マンションの建築費用でも実はそうした現実があるのです。

    次回はその実例を紹介いたします。






  • ーーー本当の企業再生への道(1)---

    「債務超過の社長さんへの朗報です」

    カテゴリー:業務紹介 2014年8月16日 記事番号:934

    弊社は不動産鑑定をコア技術とした「課題解決」を図ることを基本理念とした企業活動を行っています。中でも一番の課題解決の方策としてお役立ちさせていただいているのが「収益不動産事業による企業再生」です。


    ここではその実例をご紹介させて頂きます。


    =====================================


    殆どの中小企業の社長さんは会社の借金を連帯保証されています。

    本業が儲かっているときには何の問題もありません。

    しかし本業で債務超過に陥ってしまった場合にはどうなるでしょう。

    社長さんは連帯保証している会社の超過債務を自己の個人財産によって代位弁済することになるでしょう。

    金融機関は社長の抵当権設定していない個人財産まで担保価値として把握して融資に応じている場合があります。何故ならばそれが社長の要望だからです。沢山貸して欲しいと言われるので、金融機関は担保価値を社長の個人財産まで把握して融資するのです。


    それが本業不振で弁済不能に陥ったとき、

    これは不幸です。


    貸した方も悪いかもしれませんが、いずれにせよ不幸な結果となるでしょう。

    当然に本業での債務不履行の可能性が生じた場合には、連帯保証人による代位弁済が求められますので、個人として連帯保証している社長さんは「全財産を持って弁済を履行」することになります。


    繰り返します。

    金融機関は大抵は社長さんの個人財産の全てを把握されています。

    抵当権設定の有無にかかわらずです。

    そこまでの追加融資を社長さんが望まれたので、追加融資実行を担保するために金融機関はやむなく社長さんの個人財産を把握しているのです。でなければとっくに「融資引き上げ」になったことでしょう。メガバンクさんはそうしますから早いのです。


    でも中小金融機関さんは最後まで付き合ってくれます。だから債務超過が確定したときには、社長の個人財産が弁済に回ることになるのです。それは社長さんの要望でもあったのです。


    金融機関さんの担保評価は素晴らしいです。短期売却を前提にして、譲渡課税等を勘案しても幾ばくかのキャッシュが残るくらいの担保額で査定していますので、実際に破綻しても多少のキャッシュが社長さんの手許に残るのです。


    すなわち先祖代々に引き継がれた社長の個人宅の家屋、敷地を全て売却して、幾ばくかのキャッシュが残されて「終える」ことができる、ということです。


    おそらくこれは不幸です。社長さんは立ち直れないほどのショックです。

    もちろん金融機関としても不幸です。

    抵当権行使ではないにしろ、任意売却させた融資担当は寝起きが悪くなります。

    関係した方々は皆、間違いなく不幸になるでしょう。大和田常務のような強心臓でもなければ、常人には耐えられないトラウマになるでしょう。銀行員だって人の子ですから、社長の個人財産で弁済させてしまったら、心痛はひとかたならないと思います。



    もしその解決策があったら、

    きっと社長さんは生きる力を得てくれるでしょうね。

    金融機関も嬉しいでしょうね。

    それが本来の企業再生なんです。


    誰もが喜ぶ企業再生、

    そんな方法を弊社が実現しています。


    次回はその具体的な事例をご紹介させて頂きます。


    ==============================================

    最近見かけた某ハウスメーカーさんの建設現場なんですが、

    不思議な光景がありました。

    ここは北側前面道路が幅員25mの特定道路です。

    都市計画上の用途指定は近隣商業地域で、基準容積率300%の基準建蔽率80%、高さ制限は特に指定の無い地域です。

    そこになんと建蔽率6階建のマンションが建設されています。

    駅から徒歩1分で北側特定道路に面した高さ制限の無い好立地の土地に、ベタのマンションを建てているのです。


    やはり土地の有効活用を検討される際には不動産鑑定士に相談された方がいいと思います。地主さんの一番の味方は不動産鑑定士なんですよ。





  • 買ったマンションが値上がりするって本当?

    カテゴリー:市場分析 2014年8月5日 記事番号:932

     東京カンテイさんがびっくりするような記事をアップされてました。
    「駅別のマンションPBR、表参道駅がトップ」
    http://www.kantei.ne.jp/release/PDFs/80PBR_shuto.pdf
    ...
    PBR(price book-value ratio)は株価純資産倍率で、株価を一株当りの純資産額で除した数値ですが、東京カンテイさんは

      マンションPBR=中古価格/新築価格

    という表記で現して、東京カンテイさんは「新築で買ったマンションが中古市場で何倍の価格で取引されているかを表す数値」だと言ってます。

    ビックリですよ。
    東京カンテイさんは、いったい何を考えてこんな馬鹿げたことを言っているのでしょうか。

    論より証拠です。

    早速、マンションの取引価格の推移を調べてみましょう。
    調査対象には、「一番値上がり」していると言っている表参道駅近マンションと、「一番値下がり」していると言っている京成大和田駅周辺マンションを見てみましょうね。




    まず、表参道駅近マンションです。
    1982年築から2006年築までの5つのマンションを
    ピックアップしました。選定に当たっては各年代にわたって5事例以上の成約事例のあるものを選んでいます。

    この図を見ていただいて何が見えますか?

    30%以上の「値上がり」が見えますか?

    見えないですよね。むしろ右肩下がりです。

    買ったマンションが大幅に値上がりするなんて、今の時代はありえないんですよ。土地価格が何倍にもなったバブル期にはそうした事例はありましたが、土地神話の終わった今の時代には数倍も土地があがることは無いのです。

    では次に50%も値下がりしたと言う京成大和田駅周辺のマンション価格の推移を見てみましょう。




     千葉県のこの地域は、バブル崩壊後に住宅地の地価が1/10に下落した地域です。なので当然にマンションも急低下しており、1992年から2002年までの10年間で140万円/坪から40万円/坪へと急激に下がってます。その後も右肩下がりの傾向が続いています。

    もし新築で坪110万円以上で売り出されていたなら、築10年のマンションが坪60万円前後で取引されているので、確かに50%も下がっているんでしょうね。でも赤マークの2005年9月築のマンションを見ると、ダラダラ下がっているのではなく、むしろ下げ止まっているようにも見えます。

    (1)マンション価格は何で決まるか。
    そもそもマンションの価格は何で決まるんでしょうね。
    通常、マンション価格は以下の価格で現されます。

    マンション価格=専有部分の所有権価格+敷地の区分所有権価格

    専有部分価格は建築費等が100万円/坪程度が初期値で、その後は経年劣化(減価償却)によって、最低でも年2%の減価を生じます。10年経てば20%の減価は当然です。

    では敷地の区分所有権価格はどうでしょう。
    当然に地価上昇で値上がりし、地価下落で値下がりします。

    実はマンションは土地単体と違って、土地価格と建物価格の和ですので、その効き方が地価水準によって異なるのです。

    (2)表参道のマンション価格の内訳
    表参道は容積率500%の地域で、地価は2,000万円/坪なんて言う高地価地域です。マンションの敷地区分所有権はおよそ容積率100%当りの価格(一種単価)に近似されますので、敷地区分所有権価格はおよそ400万円/坪(=2,000万円/500%)です。

    例えば直近10年で地価が10%上昇していたとすれば、表参道の高級マンションですから建物も上質で当初は130万円/坪もかかっていたでしょうから、

     10年前の新規価格=130万円(建物)+400万円(土地)=530万円/坪
     現在の中古価格=100万円(建物)+440万円(土地)=540万円/坪

    というように地価上昇によってマンション価格が若干値上がりすることがありえます。でも、30%も上がるには、建物価格の低下を上回る急激な土地価格の上昇が必要です。だから今ではそこまではないということなんです。せいぜい横ばいか若干の上昇程度。

    図に示されているように、右肩下がりの基調はまさにそれを現しているのであり、決して「持ってるだけで新築より値上がりする」なんてバブルのようなことは無いのです。

     ※もちろん番町や麹町のような特別な地域のマンションは
      希少性によってバブル的な取引はありえます。

    (3)京成大和田のマンション価格の内訳
    大和田を含めて、千葉県住宅地は今世紀に入ってもダラダラと値下がりが続き、ここ10年でも坪40万円から坪30万円まで30%程度の値下がりが見られます。低層三階建で敷地を広々とっているので、区分所有権割合も100%程度あります。よって地価下落額がそのままマンション価格の下落になります。
    この辺りのマンション建築費は90万円/坪程度であり、経済的耐用年数は30年程度と査定され、また設備の経済的減価速度は速く10年でゼロになると考えられるため、結果的に建物価格は当初10年で1/3に低下するものと考えられます。

     10年前の新規価格=90万円(建物)+40万円(土地)=130万円/坪
     現在の中古価格=30万円(建物)+30万円(土地)=60万円/坪

    となりますので、大和田地区のマンション価格の下落をこのように説明できるのです。

    (4)東京カンテイの誤謬は何故起きたか
    難しい話ではないです。表参道駅近中古マンションの直近の成約価格を、横軸建築年次で表した図を示します。


    単純に新しいマンションほど価格が高くなっており、近年は新築マンションの価格が上がっているので「10年前の新築価格よりも今の新築価格が高い」というだけのことです。市場平均価格と個別マンションの価格推移とを区別できない、統計上のアヤということに過ぎないのです。
    個別にマンション価格を見れば決して30%も値上がりしているわけではないのです。市場価格が上がっているだけなのです。

    統計を知らない方が不動産を見ると誤ります。
    不動産鑑定士は統計も当然に理解して定量的な判断をするので、こうした誤りはしないのですが、東京カンテイさんは何を初歩的な誤りをしてるんでしょうかね。



    トップ写真はヤンゴンの高級マンションです。

    ミャンマーの首都ヤンゴンでは、2011年の民主化以降、昨年までに凄まじい地価上昇が起きていました。理由は簡単、軍事政権時代に利権を全て握っていた軍事政権関係者(国民の0.1%)が、スーチーさんの復帰による資産没収を怖れ、マネーロンダリングのために投機資金が流れ込んだためです。既にヤンゴン中心部の住宅地は麻布周辺の地価水準まで上昇し、インテリジェントビルのオィフス賃料は六本木ヒルズ並みに上昇しています。


    この高級マンションは販売開始(建築確認時点)から分譲が開始されて即日完売となりましたが、その後がすごい。まだ建物が影も形も無い段階から「転売」が開始されるのです。転売の度に価格は吊り上り、多い部屋では10回も転売されるほどだそうです。

    マンション竣工時に最高値をつけ、その後はみるみる値下がりするという状況だということですが、詳しくはまた追って解説させて頂きます。






  • 不動産鑑定士の役割について(1)

    カテゴリー:業務紹介 2014年7月31日 記事番号:931

    全く知らない人に不動産鑑定士という資格を説明するのは難しいものです。

    例えば収益不動産を持たれている人や、大きな土地を相続された方などは、不動産鑑定士を御存じなくても、ちょっと説明すれば理解して頂けるのですが、普通の人に対して説明するのは難しいものです。


    そこで今回は具体事例を交えて不動産鑑定士の役割を御説明したいと思います。


     ※先に注意しますが、いわゆる法的役割や公的役割ではなくて、

      もっと身近な事象に対する役割を説明するものです。


    先日、私の友人からこんな御相談を受けました。

     ・父親が自身で経営している焼肉屋さんを売りたいと言っている。

     ・買った時のローンが残っているので、残金以上の金額で売りたい。

     ・不動産屋さんに売りに出して貰ったけど全然売れなくて困っている。

     ・どうしたらいいでしょうか。


    詳しく聞きますと、こんな内容でした。

     ・千葉県の某市の国道沿いの店舗で土地は200坪くらいある。

     ・駐車場は10台くらいしか入らない。席数は60席くらい入る。

     ・建物は築40年の木造二階建。一階は店舗、二階は二世帯住宅。

     ・最寄り駅から5kmほどの距離があり、アクセスは自家用車かバス。

     ・国道は車通りが多く、隣の市には大規模な公務員研修所があって

      送迎バスを出せばかなりの集客が見込める。


    そこで不動産鑑定士は考えます。

    何を考えるかと言うと「最有効使用」を考えるんです。


    すなわち、「対象不動産が最大の効用を得られ使用方法は何か」を考えるのが不動産鑑定士の一番の使命であり、期待される役割なんです。

    ここで重要なのは「最大の効用」を享受するのは「対象不動産の所有者」です。売買を前提とした場合は「買った人の効用」であり、「売る人が考える効用」ではないと言う事なんです。つまり、「私はこの不動産にはコレだけの価値があると思うんだけど」と幾ら売手が考えても、買手がその効用を認めなければ意味が無いのです。


    そして更に重要なのは「典型的な需要者」を判断することです。

    誰が買うかで用途が変わります。

    誰が買うかで価格が変わります。


    ここを間違えると鑑定評価自体が意味の無い机上の空論になるわけです。そのために不動産鑑定士は、対象不動産が存する地域の市場分析を行い、対象不動産の個別性を十分に把握した上で市場における対象不動産の競争力の程度を判定し、その競争力に応じた価値判断を市場に成り代わって行うのです。それが鑑定評価なのです。


    では具体的な事例に沿って説明いたしましょう。


    今回の対象不動産は木造二階建店舗・住宅およびその敷地です。

    そのため最有効使用の判定に当たっては三通りの観点から考える必要があります。すなわち①現況のまま使用を継続する場合、②用途を変更し、必要に応じて改造を行った上で現行建物使用を継続する場合、③建物を取り壊して更地にする場合、の三通りです。

    最有効使用の判定は、「対象不動産の効用を最大限に発揮できる使用法」の判定であり、それは言い換えれば「対象不動産使用に対して一番高い経済価値を認めることが出来る使用方法」であり、つまりは「一番高い価格で買う人が想定する用途」ということであり、「典型的な需要家が買ってもいいと思う価格」なのです。


    まず簡単な方から考えましょう。


    (1)建物を取り壊して更地とする場合。

    焼肉屋としての設備を廃棄し、二世帯住宅の居住設備も全て廃棄し、更地としての新たな利用を前提としたものになります。新たにコンビニを建てたり、アパートや戸建分譲だって構いません。

    しかしそうした場合は対象不動産の個別性は土地のみになりますので、近隣周辺地域の更地が全て代替競争不動産になるわけです。そうなれば客観的に近隣周辺地域の更地取引価格の範囲内でしか価値判断されないことになるわけです。


    更地の場合の典型的な需要者は、国道沿いの店舗用地を需要する事業者だと考えられます。なぜなら戸建住宅なら国道沿いが必要ないので、一本中に入った土地でもっと安く手に入れたいと思うものです。国道沿いの土地を需要するのは、国道を走る車の客を誘引しようとする店舗事業者です。

    そうした需要者は国道沿いに広く検討しますので、代替競争不動産は国道沿いの更地となります。


    この辺りは国道沿いの角地の店舗適地が近々に取引されており、取引価格は34,000円/坪ほどでした。住宅地では更に低い20,000円/坪台の価額でしたので、対象不動産土地の地域性や個別性を加味して、更地価格を50,000円/坪と査定しました。

    土地面積は200坪ほどでしたので、更地価格は1,000万円ほどと査定されました。実際の売値は現行建物の解体費用が掛かりますので、この取引価格から解体費用を控除した価額が査定価格になります。



    (2)現行建物の継続使用する場合
    この場合の需要者は焼肉屋を居抜きで使用して、焼肉屋を継続して営業したいと考える事業者です。でも事業者と言っても色々考えられます。ここは対象不動産建物の個別性を前提として、もう少し具体的に考えましょう。


    対象不動産は築40年の木造建物です。

    現在の建築基準法の耐震基準が出来たのが32年前ですので、いわゆる旧耐震基準建物です。大地震が来た時の崩壊に耐えられるかどうか不明瞭です。大手焼肉チェーンはそうした地震リスクのある建物は使いません。しかも駐車場が10台ほどしか入らない敷地面積では集客力が小さいために、魅力が低いと判断しますので、大手チェーンは需要家になりえません。


    では誰が需要家になるでしょうか。

    考えられるのは個人事業主として、初めて焼肉店主として独立開業をもくろむ若手事業者です。彼らは自己資金が豊富では有りませんが政策金融公庫から創業融資を受けることができますので、開業費用として自己資金+融資を受けて3,000万円程度の創業資金を前提として事業計画を立て、開業のための取得店舗を需要します。

    この創業事業者は初期費用を最小化する必要があるので、居抜き物件の活用を考えるのであって、創業資金で入手可能で、最小人数で稼動できる範囲での設備・規模の物件を需要します。


    次にそうした事業者が幾らまで出せるかを考えます。

    当該事業者として想定されるのは、焼肉チェーン店等の店長であり、現在の年収(給与収入)は、現在の飲食業界の給与水準から考えれば400万円~500万円程度と推察されます。この給与年収から住居費を支払っているわけですから、住居付店舗ならばその分が少なくても対応できると推察されます。


    まず対象不動産で期待される収益を査定します。

    仮定する条件は以下の通り。

     

     ・売上げは週末3日間を主と考え、平日は収益向上努力マージンとする。

     ・駐車台数10台で平均3人×単価3,000円で2.0回転/日とする。

     ・週末を4週/月、店主給与を除く原価率を70%とする。


    月間売上 3,000円/人×3人/台×10台×2回転×3日/週×4週/月=2,160,000円

    月間収益 2,160,000円×(1-70%)=648,000円

    年間収益 648,000円×12ヶ月=7,776,000円


    この年間収益から600万円は弁済に回すことができると考えられるため、5年で完済できる計画を前提として、3,000万円の創業資金で賄うことができると考えられます。


    では3,000万円の創業資金で幾らまでの店舗付住居を買うことができるでしょう。対象不動産の現況を考えれば、創業時に必要な費用を以下のように見込みます。

      運転資金   500万円

      内外装修繕、設備費 1,000万円


    特に外壁塗装と広告塔の改修は不可欠であり、競争力を維持するための設備改修も考えれば1,000万円程度の費用を見込むべきです。だとすれば対象不動産に出せる金額は以下のようになります。


      3,000万円-(500万円+1,000万円)=1,500万円


    更地価格よりも高い金額が付くのは需要者が異なるからです。

    居抜きで需要する人が高い効用を認めることが出来るから、購入額も高い金額を付けることが出来るわけです。


    (3)用途変更を前提とする場合

    用途変更で最も期待できるのはラーメン屋です。

    国道沿いで通行量の多い立地ですのでラーメン店は繁盛するでしょう。

    しかし致命的な問題として駐車場が狭すぎると言う点があります。

    しかもラーメンの需要者は一人で来店し、単価は800円程度です。

    時間回転数は多いですが、車での来店を前提とする限り、200坪では採算が合いません。


    簡単に試算してみましょう。

    ・一日に駐車場10台分が5回転する。

    ・一人で来客、単価は800円。

    ・月30日営業し、年間360日稼動とする。

    ・店主給与を除く原価率を60%とする。


    月間売上 800円/人×1人/台×10台×5回転×30日/月=1,200,000円

    月間収益 1,200,000円×(1-60%)=480,000円

    年間収益 480,000円×12ヶ月=5,760,000円


    これでは年間に400万円程度しか弁済できませんので、5年間で2,000万円までしか創業資金を手当てできないことになりますので、改装費用を考えれば対象不動産を居抜きで購入して改装して使用する場合、改造費用を居ぬきの場合と同様としても


      2,000万円-(500万円+1,000万円)=500万円


    となって、用途変更の場合の購入額は用途継続の場合より低くなってしまいます。


    なおコンビニは用途変更では震災リスクの問題で不可能であり、他の用途はこの地域では困難です。


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    以上の検討の結果、対象不動産の典型的需要者は「独立開業して焼肉店舗を経営しようと目論む若手事業者」であり、最有効使用は「現行店舗の継続使用」だと判断されました。

    そしてその場合の価格は1,500万円であり、これが対象不動産の公売価格の上限であると言うのが結論となるのです。



    このように不動産鑑定士の役割は、対象不動産の最有効使用の用途および典型的需要者を市場分析により明らかにし、その競争力の優劣を加味した収益力等を総合的に判定し、対象不動産の正常価格を求める役割を担うのです。




    焼肉屋さんの話題なので、手持ちの焼肉の写真を載せて見ました。

    トップ写真はもちろん「ねぎタン」からですよね。

    そしてメインは「ざぶとんカルビ」

    不思議なものでカルビって絶対に沢山は食べれないんですよね。

    一番いっぱい食べれるのが赤身です。しかも塊で丁寧に炭火でじっくり焼いてから、切り分けて食べれば一番沢山食べれるのです。


    焼肉屋さんも売り物を考えると、原価率を適切に維持してお客様に満足してもらえる品揃えが出来るのです。カルビばっかり食べさせたのではすぐに飽きられてしまい、お店に対する印象も悪くなります。


    よく考えて店舗経営すること、

    でも不動産の選び方も経営計画もなかなか分りませんよね。

    そういう時に総合的に相談に乗れるのが不動産活用のプロである不動産鑑定士なんですよ。




  • 「慎重な相続対応」

    カテゴリー:相続関連 2014年7月1日 記事番号:929

    先日に遺留分減殺請求の資料向けの鑑定評価の照会を頂いた税理士の先生から、先ほどお電話頂き「お見積もり有難うございます、相続発生時にお願いしますね」と。


    なんだ、そうか。

    まだ相続発生してなかったんですね。

    生前から「遺言書対応」を考え始めるって随分準備の早いことですね!


     (注)「遺留分減殺請求」は法定相続人が自身への遺言書により指定され

        た相続分が法定相続分の1/2より少ない場合に、その増額を求めて

        訴えを起こすものです。もちろん相続発生後に行うものです。



    最近、そういうご照会を幾つか頂きます。
    相続人の方も税理士の先生方も、相続に関しては慎重な対応を考えてらっしゃるようで、相続発生前から検討を始めてらっしゃいます。


    税理士等の士業の先生経由での照会で、個人の方の不動産に関しては基本的に無料相談を受けるようにしています。見積書を作成する場合も有りますが、「だいたいこの位の価格になると思いますよ」までは簡単な調査で回答した上で鑑定報酬の見積もりを出すので、殆どの方はそれで良いようです。


    ただし遺留分減殺請求や、相続税基礎価格の算定(特に広大地や崖地や路地状地等の難しい不動産)など、不動産価格の主張に対して相手がある場合には、必ず鑑定評価報告書が必要になりますので、依頼を受けた場合には十分な調査を行った上で、鑑定評価報告書を作成させて頂きます。


    不動産の価格について争いが生じた場合には、鑑定評価書の出来・不出来が勝負の分かれ目になります。価格主張で争う必要がある場合には調査分析能力の高い不動産鑑定士に依頼することが重要です。でないと簡単にひっくり返されてしまいます。


    注:写真はミャンマーのバガンで昨年に撮影した日没写真です。

  • 「弁護士選びにもご注意下さい」

    カテゴリー:適正地代 2014年2月1日 記事番号:927

    様々な民事上の争いに対して、弁護士さんに相談をし、力になってもらうということは重要です。争う事象の金額にもよりますが、「争いに勝ちたい」のなら、弁護士さんに相談や力になって貰ったほうが良いです。常識的にはそう考えて頂いた方がいいと私は思います。

    でも、弁護士さんって、とっても多いですよね。
    特に新司法試験になってからは、とっても身近に弁護士さんがいるものですから、どのように弁護士さんを選べばよいか迷ってしまいますよね。

     

    弁護士と言うのは、殆どのことが出来るスーパーマンなんですよ。
    すなわち「本人の代理人」が出来るのだから、本人が出来ることは全て出来ます。なので殆ど出来てしまうのです。行政書士や税理士や弁理士の仕事は本人代理なので全て弁護士が出来ます。司法書士の仕事も「双方代理」という特別な手続きを除けば(甲乙両者の合意があれば可能)弁護士が出来ます。

    弁護士さんが出来ないのは特別な技術が必要なことですね。例えば、
     ・一級建築士のする設計(建築確認申請は代理出来ます)
     ・土地家屋調査士のする境界確認(表示登記は代理出来ます)
     ・宅建業者のするマンション販売(売主の地位は代理できます)
    他にも高圧ガス・危険物管理、施工管理技術者、理容師、管理栄養士に看護師や幼稚園の先生なんかはもちろん出来ませんね(笑)。

     

    弁護士さんが出来ることはとても多いのですが、実は資産・財産に関わる資格として弁護士さんが不得意とするのが「不動産」と「企業会計」です。もちろんそのために不動産鑑定士と公認会計士と言う資格があり、弁護士さんと一緒に戦う専門職業家がいるんですよ。

    ここではその弁護士さんが不得意な事象での、「選んではいけない弁護士」のお話をさせて頂きます。

     

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    先日のことです。
    私の仲間から「友人が困っているので相談に乗って欲しい」と依頼が来ました。
    早速、現地に行って「ご相談者」の方と現場不動産を前にして状況を伺いました。
    簡単に言えば以下のような状況でした。

    ・20年前の祖父の代から貸している土地がある。
    ・借地人は土地上に平屋建物を建てて焼き鳥屋とスナックを経営している。
    ・スナックのカラオケがうるさくて近隣から文句を言われている。
    ・弁護士に相談したら「地代を倍に値上げして追い出そう」と言われた。
    ・地代値上げには鑑定評価が必要なので、ネットで不動産鑑定士を探して
     「地代値上げできるか?」と聞いたら、「倍に出来る」と言われた。

     

    この状況で小職に相談が来ました。
    ご相談者にお会いする前にこの地域の地代の相場をREINSで広範に調査し、さらに土地価格を査定するために公示価格等をざっくり調べてから、現地にいらっしゃるご相談者のお家に伺いました。


    【対象不動産】
    地積    約38坪
    用途地域  第一種中高層住居専用地域
    借地契約  旧法借地権
    地代    月額5万円
    一時金   なし(正確には当時一升瓶を2本持って来たそうです)
    借地権割合 60%

     

    対象不動産は住宅地にある店舗付住宅でした。
    店舗の借地人さんは「1千万円払ってくれたら出て行くよ」と行っているそうです。

    「現状の月額5万円の地代を二倍にして追い出す」というのが、ご相談者の依頼した弁護士さんの描いた策略でした。そのために地代を二倍にするのが妥当であるという不動産鑑定評価書を書いてくれる不動産鑑定士を探しているのだそうです。


    普通の不動産鑑定士なら「38坪の住宅地に月額地代5万円」という話を聴いた瞬間に「これはおかしいぞ」と判ります。まず、その水準が判らない不動産鑑定士には地代評価の話は持って行ってはいけません。その不動産鑑定士は『世の中の常識』を知らないお坊っちゃまですから。


    まず対象不動産の更地価格を査定した結果、「50万円/坪」程度が正常価格であることが分かりました。また固都税(固定資産税+都市計画税)は、正面路線価より月額70円/坪でした。


    【正常地代の査定】
    不動産鑑定評価基準に従って、正常地代は①積算地代、②比準地代から求めます。

     

    ①積算地代
     積算地代=更地価格×期待利回り+必要諸経費等 で求めます。

     更地価格は上記の通り、50万円/坪です。
     住宅地の期待利回りは旧借地法の借地権の場合、通常の上限が1%です。
     なお借地借家法(新法)による定期借地権の場合は2%程度を取れる場合があります。 必要諸経費等は固都税なので、上記の70円/坪です。 よって
     500,000円×1%÷12ヶ月+70円≒487円/坪(18,500円)

     

    ②比準地代
     類似する不動産の地代から求めます。

    この地域の借地権取引の事例から地代を求めました。
    その結果、300円/坪から600円/坪の地代であることが判りました。
    概略を求めるので上値を取って600円/坪とした場合でも

     600円/坪×38坪≒22,800円

     

    この両者の月額地代から査定される正常地代はおよそ2万円です。
    現況の「月額5万円」でさえも高すぎるのです。
    いわんや「10万円に値上げ」など出来るわけがありません。

    なお、更地価格が50万円/坪(1,900万円)ですので、借地権割合60%ならば1,

    140万円であり、借地人の主張する「借地権買い取り代金1千万円」は決して悪い金額ではありません。


    もしも借地人が地代値上げを不服として調停を拒み、裁判になった時、普通の不動産鑑定士が裁判所から選任されますので、その時に原告側について「月額10万円が妥当」として鑑定評価書を書いた不動産鑑定士の意見は当然に否定されます。もっと言えば、そこまで乖離した鑑定評価額を書いた不動産鑑定士は懲戒対象(不動産の鑑定評価に関する法律第42条)になります。


    小職がご相談者の依頼した弁護士さんにお伝えした事項は以下の通りです。

     

     ①地代値上げは無理だ。現況でも正常地代の二倍も取っている。
     ②高額地代を支払っていることから借地権価格が下がっている。
     ③「借地権価格が低い」ことを主張して買取請求をすると方針を変えよう。
      借地権買取価格の目標は500万円までいけると思う。

     

     正常価格より倍以上も地代を払っている借地人は、すなわち借地権価格を半分しか価値を把握していないと看做します。従ってこれを民法の基本に従って「権利の上に眠るものはこれを放棄したものとみなす」として、借地権価格に反映させることができると主張するのです。それを主張すればご相談者が借地権買取を行う際の支弁金を低減できるのですから。

     

    【結果】
     なんとその弁護士は小職の忠告を無視して、自身が立てた策略にこだわりました。 現在、調停をしています。
     おそらく調停は不調になり、このまま行けば最終的に裁判となって、原告側敗訴の「地代値下げ」となるでしょう。なぜならそれが妥当な判決だからです。

     しかも地代値下げとなれば、その後に借地権買取訴訟をした場合、「借地権買取なら、「借地権相当額(1,190万円)+建物価格+立ち退きのための費用」を払えという判決が下されることでしょう。

     弁護士の選定を誤ったばかりに、ご相談者が意図しない結果、しかもその後には最悪の状況に陥ってしまう可能性が高くなっていると小職は考えます。


     弁護士さんに依頼する場合、不動産の場合には弁護士を選んだほうが良いです。
     さもないと意図しない結果を招きます。
     「普通の不動産鑑定士」ならすぐわかる事を、弁護士さんは知りません。

     

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     弁護士さんに言いたいのですが、

     「住宅地の地代」は更地価格の1%が限度です。

     更地価格は路線価を0.8で割り戻せばおよその価格は出ます。
     それ以上に地代を取れることは稀である事を知って置いて下さい。
     これは東京の超一等地でも一緒です。

     詳しく知りたい方は小職に照会下さい。
     相談無料でお答えさせて頂きますので。


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    トップに掲載した写真はミャンマーのヤンゴンにあるインヤー湖です。この中央の木立の向こうにアウンサン・スーチー女史が軟禁されたスーチー邸があります。

    2009年5月、米国籍の宗教家がこのインヤー湖を泳いでスーチー邸に上陸したという軍事政権の主張により、スーチー女史は軟禁を2年間延長されました。

    日本にもそのニュースは流れたので、その話はご存知の人が多いことでしょう。

    でも、ミャンマー人の大多数が知ってます。
    このインヤー湖は藻が多くて泳ぐのは困難であり、しかも毒蛇が多いのでミャンマー人でインヤー湖を泳ぐ人間は一人も居ないので、米国籍の宗教家が泳いでスーチー邸に言ったという話は、全世界を欺くでっち上げ話だったんです。

    先日、ミャンマーに行って現地人の方からその話を初めて聞きました。
    日本のマスコミはどこもそんな話を報道しませんでした。
    本当に知らなかったのか、握り潰したか。
    こういった話題には敏感な●●新聞はいつもなら大きく記事にすると思うのに、ミャンマー軍事政権は中韓と癒着してましたから、韓国に不利になる報道はしませんでしたね。

     


    (スーチー女史が軟禁されていた自宅)

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    知らないと事実を誤って判断します。
    インヤー湖は見かけは穏やかな湖です。
    でも実はそんな話では片付かない、ドロドロした問題が実はあるんですよ。
    不動産問題に対する弁護士選定でも一緒なんですよ。
    間違うととんでもないことになってしまうんですよ。

  • 不動産鑑定業者と不動産業者との違いについて

    カテゴリー:業務紹介 2013年7月19日 記事番号:924

    不動産業に携わる資格として最も有名なのが「宅地建物取引主任者」です。
    いわゆる「不動産屋さん」の資格ですね。
    不動産鑑定士を御存じない方の多くは、初対面で名刺交換等をした時、「不動産○○」という言葉を見て「不動産屋さんですね」とおっしゃいます。以前はついついそう言われる方に対して「不動産鑑定士とは何か」を一生懸命説明したものですが、最近はやめました。と言いいますのも、不動産鑑定士を御存じない方は、直接我々の専門職業能力がお役に立つことが滅多に無いということが判って来ましたので。

    もちろん弊社は不動産業免許を取得して、不動産業者として営業もしておりますので、「不動産屋さんなんですね」と言われてもまぁ良いか、と思うようになったと言う点もあります。多くの不動産鑑定士は一次試験で行政法規の科目を勉強してますので、鑑定士受験中に宅建主任者も取ってしまっています。だから不動産業の免許を取っているかどうかは別にして、大部分の不動産鑑定士が宅建主任者資格も持っているのが実態ですからね。

    最近、とあるお客様の収益マンションの設計に関わることになり、最有効使用としての間取りや階数について検討を進めています。お客様はこれまで二棟のアパートを建てて安定収益を上げてこられており、息子さんは中堅不動産会社に勤務する不動産業の方です。

    お客様は「御近所の方々に配慮してできるだけ低層の設計にしたい」とおっしゃる。
    息子さんは「免震構造採用して安心を売りにすべき、間取りもワンルームからファミリータイプまでバリエーションを色々取り込んでいきたい」とおっしゃる。

    気持ちはわかりますよ、おっしゃることはごもっともです。
    でも不動産鑑定士は最有効使用を、対象不動産に係る市場を実証的に分析することで判断する専門職業家です。最有効使用とは「最大の収益が上げられる使用方法(設計)」なんです。

    (1)低層化したいという意見について
     もし私がハウスメーカー営業マンだったら「お客様の要望なんだから」とそれを採用するでしょうね。だってお客様の意向に沿わなければ「他のハウスメーカーを当たるよ」と言われてしまいますからね。
     でも私は不動産鑑定士です。
     次の点で低層化は受け入れられません。
     
     まず第一に、周囲の隣地は斜線制限を受けない10m以下の建物が敷地いっぱいに建ち並んでおり、建築面積が大きくなって隣地との離隔距離が小さくなり、日照通風が悪くなります。特に1階住戸は致命的で、近所の低層マンションの賃料は低位に抑制されてしまっています。
     すなわち低層マンションでは収益力向上が望めないのです。

     第二に周囲が三階建以下のマンションですから、高層化すると目立つのです。当然日当たりも抜群で、この地域では高層マンションは絶対に競争力が高くなるのです。何と言ってもこの地域には5階建て以上が1軒もない。だから勝てるのです。競争力の高い不動産は当然に空室率の点でも賃料の点でも優位です。すなわち最有効使用は「低層マンション」ではなくて「高層マンション」なんです。





    (2)免震構造とタイプのバリエーション
     東日本大震災後、東京都心のオフィスビルでは二極化が現れました。
     事業継続計画(Business continuity planning、BCP)の観点から、耐震性の低いビルから、免震構造等を採用した耐震性の高いオフィスビルに移転する動きが顕在化し、賃料や空室等の点で二極化が生じているのです。
     またタワー型の分譲マンションでも、免震構造を採用していないと売れ行きが鈍いなどの明らかな市場参加者による選別が行われています。免震構造のない超高層マンションは長期周期の地震に見舞われて、長時間に渡って横揺れが続いたと聞いてます。

     しかし中低層の賃貸マンションではどうでしょう。
     そもそも中低層でどれだけ揺れるというのでしょうか。
     阪神大震災のときに小職は神戸で被災しましたが、当時は未だ旧耐震基準の中高層ビルが補強もされずに残っていて、少なくない数のビルやマンションが直下型の震度7という巨大地震によって破壊されました。しかしこれは「免震構造」以前の問題で、建物の構造設計と施工強度がそもそも低い建物が壊れたというだけのものなのです。

     賃貸の中低層マンションで免震構造を採用すると言うことにどれだけの市場参加者、すなわち賃借人が「その価値」を認めて、高い賃料を支払ってくれるのか、その実証データが見たいものです。

     またファミリータイプを入れると言う主張については、「賃料単価は賃貸面積に反比例する」という当たり前の判断基準を無視しています。そもそもこの地域にはファミリータイプのUR住宅が豊富に存在しており、URの設備や賃料に勝つのは困難です。

     不動産鑑定士は市場分析に基づいた実証データによって、鑑定評価書の中で最有効使用を判断していくのです。
     決して直感で決めるものではないのです。

     不動産業者と不動産鑑定業者の一番の違いは、不動産の価格を納得して貰う人数の差で説明するとわかりやすいです。

     不動産業者は「たった一人」がその価格に納得すれば「勝ち」なんです。
     その価格で買ってくれる人、売ってくれる人、が一人居れば良いのです。

     これに対して、不動産鑑定士の決定した価格は「万人が納得する価格」と言うのが原則です。両者の端的な違いはこの点なんです。だから我々は徹底的な市場分析を行い実証的なデータ収集を行うのです。

     免震構造や間取りのバリエーション、これらはマンションオーナーに対して説得できれば「勝ち」になりますよね。でも不動産鑑定士は「市場に対する競争力を判断」するのが仕事ですから、オーナーだけを説得すればよいと言うものではないのです。

     これからお客様に納得して貰えるように不動産鑑定評価書を通じて説明していくことになりますが、最後はわかって貰えると思います。説得力こそが専門職業家としての最も重要な資質ですからね。

    ============================================

    さて、何ゆえに鰻丼の写真とお品書きの写真を出してきたのかを説明させて頂きますね。



    一番最初にお見せしたのはうな丼です。
    お品書きにあるように、うな丼は2550円ですが、うな重は松でも1850円です。
    普通、うな丼とうな重はどっちが高いでしょうかね?

    ○○丼は庶民のファストフードですから安いのが当然。
    ○○重は畏まった席で頂くものですから、多少高くても良いって思いますよね。

    でも違いますね、うな丼のほうが高い。

    なぜでしょう?






    実はこちらのお店ではうな丼は二重になってるんですね。
    ご飯の中に蒲焼がもう一匹仕込まれてるんですよ。

    理由がわかれば簡単、納得ですね。

    ちょっと見た目ではわかりませんが、
    ちゃんと調べて理由を明示すれば誰もが納得してくれるんです。
    理由を示して万人に納得して貰うのが不動産鑑定士、

    ってことでお後がよろしいようで。
  • 「大きくなると安くなる」
    --分かれば簡単、不動産の価格--

    カテゴリー:市場分析 2013年4月14日 記事番号:921

    よく不動産屋さんに「この辺りの相場は幾らくらいですかね」というような質問をする方がいらっしゃいます。確かに取引相場と言うのは土地を買ったり売ったりする人にとって重要な情報ですからね。

     

    聞かれた不動産屋さんは、おそらくこんな風に判断することでしょう。

     

    「この人は20坪位の戸建てを買うつもりだから、20坪くらいの取引事例で中心価格帯となっている相場は幾らぐらいかな」と。

     

    もし聞いたお客様が二世帯住宅を建てたいと考えている比較的裕福な方だとすれば、

     

    「この人は60坪以上の大きめの土地を買うつもりだから、60坪前後の取引事例で中心価格帯となっている相場は幾らくらいかな」と考えるでしょう。

     

    ではお客さんがマンションデベロッパーさんだったらどうでしょう。

    法人で研修施設を建てたいと思っている方ならどうでしょう。

     

    不動産の価格は他の財と同様に「市場の需要と供給の関係」で決まります。

     

    需要市場はお客様により形成されますので、買いたいお客様が「どれほどお金を出せるか」によって市場相場は決まるのです。

     

    しかもその市場は

     「20坪の戸建て用地を求めるお客様」

     「60坪の戸建て用地を求めるお客様」

     「200坪のマンション用地、研修施設用地を求めるお客様」

    各々のお客様で市場を形成する市場参加者が異なるのです。

     

    市場参加者が違えば、中心価格帯が変わります。

     

    おそらく同じ地域の土地でさえも、

    20坪の戸建て用地なら、2,000万円から3,000万円くらいで坪単価100万円くらい

    60坪の戸建て用地なら、4,000万円から5,000万円くらいで坪単価70万円くらい
    200坪のマンション用地なら1億円前後で坪単価50万円くらいになります。

     

    どうしてこのようなことが起きるのでしょうか。

     

    それは「総額と単価の関係」と言うものがあるからです。

     

    20坪の土地は総額が低いので、「買い易いから単価が高くなる」

    60坪の土地は総額が張るので、「買い難いから単価が下がる」のです。

    200坪の土地はそのままではエンドユーザーに売れないから、戸建分譲するなりマンション建設するなりしないと売れないので、そのための業者の先買いリスク(=利潤)を得られるだけの価格でなければ買わないので「単価が下がる」のです。

     

    実際の実例で説明してみましょう。

     

     

    この図は横浜市の某住宅地域での最近の取引事例を調査したものです。

     

    鑑定評価対象の土地が60坪程度だったので、「60坪の土地の価格」を求めるため多くの事例を収集して整理しました。と言いますのも、この調査を依頼したお客様が不動産屋さんに「20坪の土地の単価」を吹き込まれていたからです。

     

    「どうしてウチの土地は坪50万円(16万円/㎡)なのよ。不動産屋さんは坪70万円(22万円/㎡)て言ってるよ。」と。

     

    だから実際の取引事例でどうなっているのかを示してあげる必要があったのです。

     

    そして理由を説明する必要があったのです。

     

     

    実はこの関係は直線関係ではないのです。

     

    エンジニアにはなじみのある両対数グラフにプロットすると乗るんですよ。

     

    自然界における「大きさと価値」の関係は、

    殆どが両対数グラフで直線になる指数関係なんです。

     




    この傾きは地域によっても用途によっても変わります。

    そのうち経済法則も交えてこの関係を証明したいと考えてます。

     

    人間社会も自然界の中で営まれているので、

     

    自然界の掟のような規模と価値の指数関係の中で定まっているんですね。

     

     

     

     ※写真は札幌の雪印パーラーのメニューの一つ

      「I am a No.1  (4,200円)」です。
      一番上のトッピングのソフトクリームコーンは普通サイズですから、
      大きさが分かって頂けるでしょう。

      一般のパフェの10人前くらいで価格は5倍。

      確かに大きくなると単価?は安くなるようで、、、、

  • 駅から近ければ良いってもんじゃないのでは?
    --- マンション選びの注意点 ---

    カテゴリー:市場分析 2013年3月10日 記事番号:918

    写真はババ・オ・ラム発祥のお店、ストレー(パリ モントルグイユ通り51番地)のババ達です。日本では美食家サバラン氏の名前を冠した「サバラン」という名前の方が有名になっていますが、欧州では"Baba Au Rhum"です。

    これはラムシロップに浸したケーキなので、酒飲みにも受けが良い人気のお菓子。

    でもでも気を付けないと酔っぱらうし、何しろカロリー甚大なので太ります。

     

    知って覚悟して選べばよいのですが、

    見た目や条件だけで選ぶと痛い目に合う、

    「マンション選び」も一緒ですよ。

     

    どの住宅誌、不動産屋さんも口を揃えて言うのが「マンションを選ぶなら駅前物件ですよ。駅から徒歩10分圏内でないとダメですよ」です。

     

    これは基本的には間違いないです。

    特に賃貸マンションでは駅から10分を超えると、途端に人気が落ちます。

     

    では駅から近ければ良いのでしょうか。

    特に収益物件や自己居住物件として「分譲マンションを買おうと思っている方」に注意をして頂いた方が良い点がございます。

     

    (1)日当たりが悪いと途端に居住用マンションは人気が落ちる

     幾ら駅から近いと言っても「日が全然当たらない部屋」というのは嫌ですよね。誰だって嫌なものなのです。そして絶対に気を付けないといけないのは「今は日が当たるけど、将来的にもずっと当たってくれるのか」という点です。

     どうやってそれを判断したらいいのでしょう。

     隣が今は戸建てなんで今は日が当たるけど、数年後に戸建ての土地が売られて高層マンションが建つことだってありますよね。

     どうしたら良いと思いますか?

     

    (2)駅からの距離は実は道路距離ではない。

     不動産屋さんの広告で「駅から8分」とか書いてますよね。それって「距離を分速80mで割った時間」を表示することになってます。では距離は何でしょう。

     

     驚くなかれ、少なくない数の広告に掲載された距離は「直線距離」なんですよ。

     

     普通の人はヘリコプターには乗らないので、道路を歩きます。だから駅からの距離を正確に把握するためには「道路距離」で比較しなければいけません。だって歩くのは家の屋根の上をではなく、道路ですからね。

     どうやってそれを見破ったらいいと思いますか?

     

     

     

    【解答】

    (1)どうやって陽当り良い物件を選んだらよいか。

     まずね、マンション敷地の道路付きを見ましょう。

     マンションの南側に幅員15m以上の道路があるなら、陽当りはずっと良いはずでしょうね。ただし道路挟んだ反対側に巨大な高層マンションが建ってしまったら、低層階では日が当たらなくなる可能性はあります。

     そのような高層マンションが建てられてしまうのが「商業地域」と呼ばれる地域なんです。日本全国どこでも「日照権」なるものが主張できると誤解されている方が居ますが、実は商業地域では日照権など主張できないのです。日影規制(建築基準法第56条の2)は適用除外なのです。だから商業地域では、北側の住人の事なんか一顧だにしなくてよいのです。

     

     普通、駅前の大通り沿いの地域は商業地域指定されてます。だから駅前の便利な場所でマンション買ったら、普通に陽当りは期待できないのです。特に大通りから一本中に入った幅員8m程度の道路沿いで北側道路のマンションは危ないです。例え今は南側が中低層建物が建っていたとしても、いつ何時、南側に高層マンションが建つやも知れません。そうしたら日照は皆無です。

     賃貸ワンルームならそれでも「駅前の便利な部屋が良い」という需要がありますから良いですが、ファミリータイプの部屋で日照ゼロではよほど賃料を下げないと入らないです。どのくらい下がるかと言えば、先に御紹介した川崎の事例では㎡単価で1,000円の差、30㎡の!LDKなら1部屋当たり年間36万円の差が出てしまいます。

     

     商業地以外ならどうかと言えば、たとえば準工業地域や第一種住居地域という比較的容積率の緩和された用途地域があります。大抵が東京では第3種高度地区に指定されていて、北側隣地境界で10m高さ以上の部分には日を当てないといけないというものですが、3階以下の住戸はやはり日が当たりません。

     ですから3階以下の低層階は今は日が当たっていても、将来的に隣地に中高層のマンションが建ったら日が当たらなくなっても文句が言えない、賃料が下がってしまう、ということを十分に理解して購入されることが必要です。

     

     実際、築20年の駅前マンションで、全く日が当たらない低層階の部屋というのを幾つも見てきています。そうしたマンションが建った当時の南側は低層戸建住宅だったんですよ。日が全く当たらない、暗くじめじめして苔むしたベランダは哀しいです。

     

     

    (2)実際の距離はどうやって測るのか。

    先日、「駅から12分」とい広告記載を見て、絶対におかしいと思って調べたら、やはり直線距離でした。道路距離では途中に公団住宅などもあって迂回が必要で、徒歩20分もある場所でした。

    ではどうすれば本当の駅距離を把握すればよいでしょうか。

    それは物件の住所を正確に不動産屋さんから聞き出して、マピオンとかグーグルマップとかで徒歩距離を出せばよいのです。この時、絶対に気を付けないといけないのが、不動産屋さんの「駅からの距離」の駅は「駅の出口」なんです。

    特に地下鉄は注意してくださいね。地下鉄は地表面の出入り口から電車乗るまでに5分以上歩くことって結構ありますでしょう。我々が知りたいのは「ドアtoドア」の距離ですよね。その点も十分に考えて、地図上の駅の位置(たぶん改札口が良いです)を分かったうえで計測してくださいね。

    たぶん不動産屋さんの広告の距離と全然違う結果が出てくると思います。

     

    ちなみに不動産鑑定評価では、現に陽当りの無いマンションは賃料収益が下がっているので、収益価格で評価して減価します。また駅距離は必ずマピオンで自分で測り直して計算します。不動産屋さんの広告距離は全く見ませんよ。

     



     

    (注)

    ストレーのババ達はここに見せているように三種類です。

    真ん中がオーソドックスなババ・オ・ラムで、コルク状のブリオッシュをラムシロップに浸したものです。

    左はそのババ・オ・ラムに切れ目を入れて、生クリームをたっぷりつけて、果物をトッピング。
    右はレーズンをクリームにいれたアリババです。

     

    私がストレーを訪れた日は多くのパティスリーでババが見つかり、一日に5個も食べる羽目になった日でした。

    http://blog.livedoor.jp/kumasanr/archives/3953131.html

     

  • 家賃で困っている人は誰?

    カテゴリー:業務紹介 2013年3月3日 記事番号:917

    ※写真はシンガポールのとあるビルの影で偶然見かけて撮影したものです。

     カラスなんですよ。 カラスが縄張り争いしてるんです。凄い勢いで羽ばたきながら、侵入者の追い出しをするんですね~。まさに鳥獣戯画のような一瞬を撮影することが出来ました。

     家賃交渉は縄張り争いではありませんが、意外に難しい問題のようです。

     

     

    裁判所の判例を見ていると「賃借人からの家賃値下げ交渉」に係る事件が多く見られます。

     

    このため「家賃に係る問題の多くは賃借人からの家賃値下げ交渉が多いのかな」と思ってました。しかし実態は少々違うようですね。

     

    住居用途や事務所用途のテナント入居者の方は、比較的身軽に引っ越しが出来ますので、「安くて良い所」があればすぐに移ってしまいます。このため、市場賃料(新規の賃貸借契約において成立する賃料)に近い額で契約更新される場合が多いようです。

    家賃交渉も何もない、入居者は周辺の募集賃料を見て「こっちの方が新しくて広くて安いじゃない」と思ったらさっさと移ってしまいますので、家主は大変です。同品質で市場賃料より高い家賃の部屋は借手がつかずに空室になりますので、仕方なく家賃値下げして募集を掛けなくてはならなくなりますからね。

    自然と家賃は市場相場に収斂(しゅうれん)していくことになるのです。

     

    これは入居者が「部屋を変えるためにお金がさほどかからないから」です。

    すなわち 賃料差額>転居費用 なら転居されてしまうのです。

     

      賃料差額=(市場賃料-契約賃料) × 契約期間

      転居費用=引越代金+転居案内費用+造作設置費用+原状回復費用

     

     引越代金   :引越代金+礼金等+仲介費用

     転居案内費用:連絡葉書+従来顧客への案内や新店舗周辺への宣伝広告

      

     造作設置費用:新店舗の造作設置費用

     原状回復費用:旧店舗造作等の撤去費用

     

    しかし、特に飲食店舗や診療所等の用途でテナント入居されている事業者の方は、このうちの造作、設備の費用を掛けないと営業が出来ないので、お店を変える度に造作のやり直し費用が発生してしまいます。

     

    また「店にお客がつく」のであり、その地域にそのお店が存在するから、そのお店にお客様が通ってくるものであり、店の都合で場所を変えれば、お客様への連絡や新店舗周辺での顧客新規獲得に費用が掛かってしまうことになります。

     

    こうしたことから、なかなか「賃料差額>転居費用」にならないため、居住用途や事務所用途に比べると転居が難しいのが実情だと考えられます。

     

    昨今の不動産市場の低迷により、賃料は下落を続けています。このため、殆どの不動産で市場賃料に比べて、自分が契約している不動産の賃料が高い、という傾向が生じています。

    一方、長期のデフレ基調によって、店舗経営社の事業収入が減少し、総収入に占める賃料の比率が相対的に高まっている傾向がみられます。

     

    こうしたことから、店舗経営者の方にとって賃料値下げ要求は至極当たり前のことのように思われます。

     

     借地借家法第三十二条では「建物の借賃が、土地若しくは建物に対する租税その他の負担の増減により、土地若しくは建物の価格の上昇若しくは低下その他の経済事情の変動により、又は近傍同種の建物の借賃に比較して不相当となったときは、契約の条件にかかわらず、当事者は、将来に向かって建物の借賃の額の増減を請求することができる。ただし、一定の期間建物の借賃を増額しない旨の特約がある場合には、その定めに従う。」とされてます。

     

     すなわち以下の三要件のいずれかの理由によって 契約賃料が不相応になった場合には、借地借家法に定められた借賃増減請求権によって、賃貸人または賃借人のいずれか一方から賃料増減額の請求ができるのです。

     

     ①公租公課等の負担の変動

     ②経済事情の変動

     ③市場賃料の変動

     

     本来は値下げ時は賃借人(店子)が、値上げ時には賃貸人(大家)がこれらの三要件について数字を調査して、相手方に根拠として示して値下げまたは値上げを認めて貰うのが筋となります。この交渉がまとまらなければ「民事調停法第24条の2(後述)」の定めによって調停を経て裁判を行うことになります。

     

     しかし実際にはそうした手順に及ぶことなく、大部分が店子である店舗経営者のネゴによって値下げが行われているようです。しかもその大部分はいわゆる「泣き」と呼ばれる手法です。

     

     具体的な「泣き」の交渉は「客足が落ちているので売り上げが減っている」とか、「不況で財布のひもが固くなっている」とか、上記の②の理由を説明して賃貸人(大家さん)に値下げをお願いするものです。もっと直接的に「とにかく売り上げがこれしかないから家賃が払えない」というような、文字通り「泣きを入れる」場合もあるようです。

     

     いずれにしろそうしたネゴによって賃料値下げを認めて貰えるケースが少なくないようです。

     

     

     でもそうなって困るのは誰でしょう。

     実際のところ不動産市場の低迷で最も困っているのは賃貸人(大家さん)であるというケースが少なくないように見受けられます。と言うのも、そもそも市場賃料が下がったからと言って、市場賃料水準まで賃料を下げるのは賃貸人の利益を一方的に損なうものであり、利益衡量の精神に反して本来は不当なのです。

     

     しかもこうしたネゴが行われた場合、賃借人である店舗経営者の方は、市場賃料よりも低い額でのお願いをする傾向にあるようです。大家さんも大部分は人が良い方が多いので「経営が困っているなら仕方ない」と値下げ交渉の値下げ幅について賃借人の方の希望を聞いてしまって、市場賃料水準や市場賃料水準以下の水準まで値下げを容認してしまうケースがあるようです。

     

     もちろん「家賃が払えねえならとっとと出て行きな」と頑なに値下げのお願いを拒絶する大家さんも実際にはいらっしゃいます。そうした大家さんの言い分は「一度約束した(契約)賃料なんだからウダウダ言うんじゃない」というようなものだと思われます。

     そうした大家さんの店舗不動産を借りてしまった経営者の方は、その不動産の存する地域の就労人口減や不況による交際費減等の外部要因によって売り上げが落ちて経営が困難になっているにもかかわらず、「そんなことは知ったこっちゃない」という大家さんの頑なな態度になす術無く、最終的にタダ同然で造作を泣く泣く手放して出て行くということになってしまう場合もあります。

     

     

     賃料の増減額交渉は賃貸人・賃借人の相互に言い分があるはずです。

     そして一番大事なことは「適正な水準はどこにあるのか」という点を見極める必要があるという事だと思います。

     

     賃料改定交渉で揉めれば、最終的には調停、裁判となるものですが、その場合に裁判所が裁定するために参照するのが不動産鑑定士による賃料の鑑定評価額です。

     

     ですから最初から不動産鑑定評価による「適正な賃料額」を相互に知ることが出来れば、不当な賃料値下げを回避することもできますし、「頑なに賃料値下げを拒絶する大家さん」に対して説得する有力な材料になるというものです。

     

     

     

     賃料で悩んでらっしゃる方がまず相談すべきは不動産鑑定士なのです。

     まず適正賃料を知ることが重要なのです。

     それは賃料値下げを求めたい方も、値下げを求められてしまった方にも重要なことなのです。利益衡量の精神、すなわち契約関係にある当事者同士は、一方がすべての利益や不利益を負うというのは不当であり、相互に応分の負担をしあうのが民法が定める本来の精神なのです。

     

    そのためには不動産鑑定という手段を活用するのが最も適切です。

     

    まずはお気軽にご相談ください。

     

     

     

     

     

    第二十四条の二  借地借家法 (平成三年法律第九十号)第十一条 の地代若しくは土地の借賃の額の増減の請求又は同法第三十二条 の建物の借賃の額の増減の請求に関する事件について訴えを提起しようとする者は、まず調停の申立てをしなければならない。

     

     

  • 不動産屋さんも知らない適正地代
    (とんでもなく大きく誤解されてます)

    カテゴリー:適正地代 2013年2月23日 記事番号:915

      ※水槽の前に「ご自由にお持ちください」って書いてあるからと言って

        高級金魚のランチュウを持って帰ったら捕まりますよ(笑)

        誤解は困りますよね~
        でも素人を誤解させる方々はもっと困ります。


    居住用住宅地の借地についての地代というのは幾らぐらいが適正なのか、

     

    不動産屋さんに聞くと、大抵はこう答えると思います。

     

    「そうだね、普通はおよそ固定資産税等の2~3倍くらいだよ」とね。

      ※固定資産税等とは「固定資産税+都市計画税」です。

     

    そしてちょっと物知りの不動産屋さんなら得意げにこんな風にも言うでしょう。

     

    「調停員の指導書にも2-3倍なら適正地代だって書いてあるんだよ」ともね。

     

     

     (注):『民事調停の適正かつ効率的な運用に関する執務資料』

         最高裁判所事務総局 1991年

       (3) 商事調停における裁定制度(民事調停法31条)の活用

       「b 最終合意賃料の公租公課(2の(3)のウ参照)との倍率(地代について)で

        最終合意賃料が公租公課の2~3倍に収まっているときは、加減要素とし

        て考慮しない」との記載を引用して、よく考えずに言っているようです。

     

     

    これ、実はものすごく大きな誤解であり、

     

    借地人の地位を不当に高めてしまっている悪しき慣習なんです。

     

     

    「固定資産税の2-3倍」という事について国がどう考えているかというとね、

     

    実は法人税法上の条文で

     

        「固定資産税の三倍以下ならば低廉な地代水準なので

         収益目的の貸土地事業ではない」

     

    と明確に定めているんです。

     

    固定資産税等の三倍以下の地代は収益目的でないって国が言ってるんですよ(笑)

     

     

      ※お寺さんが地主って土地が多いですよね。

        昔からお寺は地代収入で運営される貴族支配的な存在でした。

        しかし、お寺が「貴族階級」にならないように国が制限を設けてるんです。

        お寺は宗教法人であり公益法人認定も受けています。

        公益法人は公益事業を行う主体として法人税や固定資産税について、

        免除や減免を受けています。

     

    公益法人は「収益を目的とした事業」を行ってはいけません。

     

    もし公益法人である宗教法人が、収益目的の事業を行ったら、

     

    普通法人と同じように法人税や固定資産税を賦課されることになります。

     

    では貸土地業について「収益を目的としない公益事業」となる水準とはどういった水準だと思いますか?

     

    『そりゃ固定資産税に毛が生えた位、せいぜい固定資産税の1.5倍とかじゃないの?』

     

    そんな風に思われましたかね(笑)

     

    最下段に該当条文を転記しておきましたから見てみてくださいな。

     

     

      「公益事業とするのは固定資産税の3倍以下という低廉な地代の場合」

        (法人税法施行規則第四条等 参照)

     

    わかりますか?

     

    固定資産税の3倍というのは公益事業として認可される低廉水準なんですよ!!

     

    2-3倍なんて借地人が地主の享受すべき利益を搾取している水準!!

     

    借地人が「固定資産税の2-3倍が適正水準だ!」などと言うのは

     

    根拠のない言いがかりに近いものだと私は思います。

     

    いわんや不動産の専門家である宅建業者が「固定資産税の2-3倍が適正」などと

     

    一般客に言うのはいかがなものかと思います。

    確かに市場地代は現にそうした水準があるかもしれませんが、

     

    調停員の話まで出して「適正」などと言ったら駄目です。

     

     ※横須賀先生によれば住宅地の平均は4.25倍、商業地で3.81倍だそうです。

      http://yokosuka.jp/knt/tpc/b/tpc-b0105%20.htm

     

    ここで少し解説補足しますが、そもそも住宅地の不動産の固定資産税は

     

    200㎡以下は1/6に減免され、200㎡超部分も1/3に減免されてます。

     

    都市計画税も同様の減免を受けています。

     

    ですから、そもそも固定資産税水準が安いのです。

     

    そんな安い水準の固定資産税等の3倍くらいで借りられてしまったら、

     

    地主さんは土地所有者としての効用を享受できてないのです。

     

     

    上述の調停資料は「商事調停」であり、商業地における指導要領だと思われます。

     

    商業地は住宅地と違って固定資産税の減免はせいぜい3-4割。

     

    固定資産税等の価額水準がそもそも違うのです。

     

    だから2倍から3倍でもかなり地代水準になるのです。

     

     

    現在主流になっている定期借地権の地代は、

     

    更地価格の2%~3%が年額地代が相場となっています。

     

    更地価格の70%が固定資産税路線価で、その1/6に減免されているので、

     

    実効の固定資産税等は更地価格の0.20%程度です。

     

    定期借地権の地代は固定資産税等の10倍から15倍。

     

    これが現代における適正な地代なのです。

     

    ちなみに所得税法や法人税法上の「借地権の発生しない適正な地代」は更地価格の6%です。

     

    住宅地なら固定資産税等の30倍が適正地代なのね(笑)

     

     

    もし地主の方で「地代が上げられず困っている」という方が居られれば、

     

    「適正な地代」を不動産鑑定評価書でキチンと表して、

     

    裁判で堂々と戦う事をお勧めします。

     

    悪しき慣習はいつまでも残してはいけません。

     

     


    <国税不服審判所 (平5.7.9、裁決事例集No.46 87頁)>
    法人税法では、宗教法人を含む公益法人等に対する法人税の課税について、法人税法第7条《内国公益法人等の非収益事業所得等の非課税》において、収益事業から生じた所得以外の所得については法人税を課さないこととするとともに、公益法人が行う不動産貸付業にあっては、法人税法第2条第13号及び法人税法施行令第5条第1項第5号への規定により、主として住宅の用に供せられる土地の貸付業で、その貸付けの対価の額が低廉であることその他一定の要件を満たすものについては、収益事業課税の対象となる不動産貸付業から除外することとされている。

     

    <法人税法施行令>
    (収益事業の範囲)
    第5条 法第2条第13号(収益事業の意義)に規定する政令で定める事業は、次に掲げる事業(その性質上その事業に付随して行われる行為を含む。)とする。
    5.不動産貸付業のうち次に掲げるもの以外のもの
    ヘ 主として住宅の用に供される土地の貸付業(イからハまで及びホに掲げる不動産貸付業を除く。)で、その貸付けの対価の額が低廉であることその他の財務省令で定める要件を満たすもの

     

    <法人税法施行規則>
    (住宅用土地の貸付業で収益事業に該当しないものの要件)
    第四条  令第五条第一項第五号 ヘ(不動産貸付業)に規定する財務省令で定める要件は、同号 ヘに規定する貸付業の貸付けの対価の額のうち、当該事業年度の貸付期間に係る収入金額の合計額が、当該貸付けに係る土地に課される固定資産税額及び都市計画税額で当該貸付期間に係るものの合計額に三を乗じて計算した金額以下であることとする。

     

     

  • 不動産相続の留意点(4) 「外階段でも同居になった!」

    カテゴリー:相続関連 2013年2月9日 記事番号:913

    先月にお話しした「内階段は同居でない」というお話しは、

     

    実はその直前に元国税の税理士の方に確認してから書いたものでした。

     

     

     

    最近、何人かの税理士の方のメルマガで「平成25年税制改正大綱で外階段でもOKになった」というお話しがされてるのに気づきましてね、

     

    その元となったのがこの発表です。

     

    http://www.jimin.jp/policy/policy_topics/pdf/pdf085_1.pdf

    この45ページに以下の記載があります。

     


    小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例について、次の見直しを行う。
    ① 特定居住用宅地等に係る特例の適用対象面積を330 ㎡(現行 240 ㎡)までの部分に拡充する。
    ② 特例の対象として選択する宅地等の全てが特定事業用等宅地等及び特定居
    住用宅地等である場合には、それぞれの適用対象面積まで適用可能とする。
    なお、貸付事業用宅地等を選択する場合における適用対象面積の計算については、現行どおり、調整を行うこととする。
    ③ 一棟の二世帯住宅で構造上区分のあるものについて、被相続人及びその親族が各独立部分に居住していた場合には、その親族が相続又は遺贈により取得したその敷地の用に供されていた宅地等のうち、被相続人及びその親族が居住していた部分に対応する部分を特例の対象とする。
    ④ 老人ホームに入所したことにより被相続人の居住の用に供されなくなった家屋の敷地の用に供されていた宅地等は、次の要件が満たされる場合に限り、相続の開始の直前において被相続人の居住の用に供されていたものとして特例を適用する。
    イ 被相続人に介護が必要なため入所したものであること。
    ロ 当該家屋が貸付け等の用途に供されていないこと。
    (注)上記①及び②の改正は平成27 年1月1日以後に相続又は遺贈により取得する財産に係る相続税について適用し、上記③及び④の改正は平成26 年1月1日以後に相続又は遺贈により取得する財産に係る相続税について適用する。

     

     

    まさに問題の外階段の話が出てます。

     

    国税が言ってた「同居とは生活の場を共にすること」という要件をスッキリ抜いて、

     

    まさに骨抜き(笑)

     

     

    まぁいいですけどね。

     

    官僚は「有るべき論」の理屈で物事を決め、

     

    政治家は「情で全てを決める」方々ですから、

     

    あまりに多かったんでしょうね、この外階段の反対が。

     

     

     

    と言う事で平成26年1月1日以降の相続ではこの要件が適用されます。

     

    もちろん平成25年12月31日までの相続には従前の要件が適用されます。

     

    今年中に相続が起きたら「内階段がないとダメ」なんですよ!!

     

     

     

    それと介護ホームに居住の実態を移してしまった方にも、

     

    平成26年1月1日以降は「居住」が認められることになりました。

     

    今年いっぱいはダメです。

     

     

     

    色々ありますね~

     

    理屈じゃないんですね。

     

    ちなみに基礎控除が今の4割引きになるのは平成27年1月1日からです。

     

    平成26年中の相続は優遇されるんですね。

     

  • 陽当りと賃料の関係

    カテゴリー:市場分析 2013年2月2日 記事番号:909

    川崎駅から徒歩圏内の地域に、少しまとまった土地をお持ちのお客様から資産活用のご相談を受けた時のお話です。

     

    通常、まとまった土地では以下の二つの方法があります。

     (1)マンション等の共同住宅用の敷地として一体利用する。

     (2)標準的な面積の画地に区画割りして分割分譲する。

     

    このいずれかが適切かは、その土地の用途地域指定や指定容積率や高度地区等の都市計画がどうなっているかを調査し、さらに地域のマンション需要や戸建て需要がどのようなものなのかを把握して判断する必要があります。

     

    調査した結果、この土地には高さ20mまでの中高層共同住宅の建築が可能であり、1LDKや2DK程度の単身又は小家族向けの賃貸マンションの需要が大きいことがわかりました。一方で、15坪前後の狭小地に3階建の戸建住宅の需要も高く、一体利用でも分割利用でもどちらでも需要は望めると判断されました。

     


    一体利用する場合を想定して、概略設計を行った時に気づきました。

    お客様の土地は長方形で南北の二方路地(南側と北側に道路のある土地)です。

    既に北側に賃貸マンションを建築し、南側はご自宅と駐車場として使っておられました。この南側の土地をどうするのが良いのかというご相談でしたので、この南側の土地に中高層のマンションを建てたらどうかという判断となります。

     

    問題は南側に中高層マンションを建ててしまうと、北側の既設マンションの陽当りが落ちてしまうという事にありました。

     

    陽当りの良しあしでどの程度、賃料が変わるでしょう。

     

    そこでこの地域の類似した不動産について賃料(実際に契約となった成約賃料)を調査してみることにしました。その結果を図に示します。
     

     

    既設マンションが昭和60年代の建築だったので、その築年前後の賃貸マンションの賃料に対する陽当りの影響を分析し、併せて新築および築浅マンションに対する陽当りの影響も分析してみました。

     

    まず、驚くべきは新築・築浅マンションにおける陽当りの影響です。

    陽当りの良い物件では4,000円/㎡程度なのに対し、

    日当たりの悪いものは3,000円/㎡以下です。

    およそ35㎡前後の賃貸面積の物件を選択していますので、

    陽当りの良し悪しで、月額家賃に約35,000円(年額42万円)の差が出てしまいます。

    賃料収入で3割もの差が出てしまうほど、陽当りに対する典型的需要者の選好性が強いという事がわかります。ですから、この地域で新築マンションを建てる際には、必ず南側の隣接不動産の状況を的確に判断することが重要だという事がわかります。

    お客様の不動産は南側には低層戸建住居が立ち並んでいる地域ですので、少なくとも新規賃料で低位に位置することはないと判断できます。

    それでは築年が25年以上にもなった賃貸マンションでは影響はどうでしょう。

    陽当りの良い物件が2,700円/㎡程度なのに対し、陽当りの悪い物件は2,200円/㎡と低迷しています。新築ほど賃料差は大きくはありませんが、それでも賃料単価で500円/㎡の差があり、月額17,000円(年額21万円)の差が出ると考えられます。

     

    現状では南側はお客様の二階建住居と駐車場しかなくて、既設マンションは陽当りが良好になっています。しかしこの南側の土地に中高層マンションを建ててしまうと、北側に位置する既設マンションの賃料は下がってしまうことになります。

     

    不動産鑑定士は対象不動産の最有効使用を判断して価格を決めるのが仕事ですが、このようにお客様が複数の不動産を保有され、対象不動産以外の他の不動産に対象不動産の最有効使用の建物が悪影響を及ぼす場合、それも考慮した判断を行うことが不可欠なのです。


     

    居住用不動産の場合には「居住性、快適性、利便性、安心性」等によって効用が異なるため、効用に対して貨幣価値がつく不動産の価格および賃料は、効用の度合いに応じて変わります。
    不動産鑑定士は市場における典型的需要者が、その効用の度合いの強弱に対してどのような行動を取るかを的確に把握して、価格または賃料に適切に反映することが求められています。しかもその「典型的需要者の行動」は地域性があり、都市と地方では異なり、また同一都市内でも細分化された地域間で異なる行動となる場合があります。

    今回は具体的な事例を示して、不動産鑑定士が鑑定評価において検討する範囲や内容を説明しました。このように不動産鑑定士は最有効使用を単純に判定・評価しているわけではないことをご理解頂ければ幸いです。

     

     

     

     

     

  • 税理士さんも意外に知らない課税の不思議(1)
    「建物の時価ってどう査定されるの?」

    カテゴリー:税制関連 2013年1月26日 記事番号:907

    事業承継や事業清算の際の不動産の鑑定評価を行っていると、不思議な光景を目にします。

     

    それは、少なくない数の税理士さんが「建物時価」についての査定根拠を正確にご理解頂いてないために、我々不動産鑑定士の考えをご理解頂けないという事態です。

     

    今日はこのことについて判例に基づいてご説明させて頂きます。

     

    (1)税務主体の考え方

     国税が課税する場合、原則としては以下の査定額です。

     

      土地:相続税路線価額

      建物:固定資産税評価額

     

    相続税路線価は、毎年1月1日現在の価格を国税が調査して公表します。

      http://www.rosenka.nta.go.jp/

     

    路線価は文字通り「道路路線についた価格」ですので、接面道路の状況や土地の形状や地勢等の個別的要因によって補正されて、各々の土地の価額が算定されます。

     

    建物(家屋等)の固定資産税評価額は、市町村長の任命した固定資産税評価員が、当該建物が新たに登記された時(または調査が必要な時)に実地調査して、総務大臣によって定められた固定資産評価基準に則って査定して決定した額につき、毎年の暦年償却額を控除した額とすることが定められています。

    例えば償却期間は木造家屋ならば35年、鉄骨造・鉄筋コンクリート造なら53年と法定償却期間が決まっていますので、最初に査定額が決まったら、例え維持管理が悪くて水漏れしても、課税標準額が振れることはないのです。

     

    家屋の調査は市町村長の任命した評価員が実地調査に行って決めますが、通常は国税の資産担当者も同行します。だから市町村と国税は連携して家屋の固定資産税課税標準額(家屋台帳登録額)を決めているのです。

     

     

    ここで気を付けなければいけないのは、固定資産税評価員が家屋の課税標準額を査定するのは、もっぱら「固定資産税徴収を目的とするため」です。その点を間違えてはいけません。

     


    (2)相続、贈与における考え方

     相続や贈与においては相続税法22条に明記されている通り、『相続、遺贈又は贈与により取得した財産の価額は、当該財産の取得の時における時価』により把握すべしとされています。しかもこの時価は以前にも説明させて頂いたように

     

      『時価とは、不特定多数の当事者で⾃由な取引が⾏われる場合に通常成⽴

       すると認められる価額、すなわち、客観的な交換価値をいうもの』

    という明確な定義がなされ、この言葉はどの判事も決まり文句として使います。

    だからこそ「公正な市場に代替して客観的な交換価値を把握する」不動産鑑定評価によって求められた価額が『時価』として認められることになるのです。

     

     このように時価把握されるのは、土地だけではなく建物にも、もちろん建物およびその敷地にも適用される考え方です。すなわち、簿価や固定資産税評価額が幾らであろうが、市場における交換価値の毀損を証明する明確な理由があれば、正当な価額は不動産鑑定評価額という事になるのです。

     

     ですから、相続や贈与が行われた際の課税標準額は「不動産鑑定評価額」とすることが裁判所にも認められたものなのです。

    (原則)
      土地:相続税路線価額

      建物:固定資産税評価額

    (実際)
      土地:不動産鑑定評価額
      建物:不動産鑑定評価額

     

     なお、相続・贈与後の建物についての固定資産税の課税標準額は、重要な部分の滅失等による事実上の利用価値の毀損が無い限り、不動産鑑定評価額のいかんにかかわらず、被相続人・寄贈者が支払っていた固定資産税の課税標準額を引き継ぎます。この点に注意が必要です。

     相続税や贈与税は国税であり、固定資産税は市町村税ですので、税務主体が異なれば齟齬が出るのは仕方がないのです。理由は後述します。

     


    (3)譲渡における考え方
     事業譲渡(M&A)や事業清算における会社資産の把握は『時価評価』が基本です。この時価についても当然のことながら『交換価値』であり、不動産鑑定評価額による価額という事になります。

     建物についても同様です。

     

     ですから時価評価によって土地・建物等の不動産を譲受けた譲受人が、貸借対照表に記載する簿価は「譲受けた際に支払った額」なのであり、譲渡人が把握していた簿価は引き継ぎません。ですから譲渡所得等が生じた場合の所得税(法人ならば法人税)は譲渡金額に応じて課税されますので、所得税および法人税の課税主体である国税は譲渡金額について把握します。

     

     もし低廉譲渡、すなわち「時価に比べて著しく低い額で譲渡」が行われた場合、時価との差額を「益(所得)」として認定し、これに課税することになります。実はこの時の時価の原則は以下の通りです。

    (原則)
      土地:相続税路線価額

      建物:固定資産税評価額

    (実際)
      土地:不動産鑑定評価額
      建物:不動産鑑定評価額


    すなわち原則の価額より低い価額で取引するのならば、低廉譲渡と認定されないように不動産鑑定評価によりその理由を証明する必要があるのです。もちろん、原則額より高い金額で取引する分には鑑定評価は必要ありません。

     ここで気を付けなければいけないのは、やはり実際の取引金額が幾らであろうと、固定資産税評価額は変わりません。理由は相続・贈与と同じです。


     

       

    (4)固定資産税評価額がなぜ変わらないのか
     相続・贈与税や譲渡所得税等において、不動産の価額が時価評価の要請を受けることを説明しました。それはそれらが個別具体的な取引において生じるものであり、税務主体には各々の取引における個別具体的な事情を勘案すべきというのが裁判所の統一判断だからなんです。

     

     しかし固定資産税は違ってます。
     もちろん不動産取得税や登録免許税にも関わります。

     固定資産税は市町村ができるだけ徴税コストを最小化して、徴税効率を上げることが社会的な要請となっていると裁判所は考えているようです。

    最高裁平成18年7月7日判決(http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20060707160417.pdf)では

     

    『土地に対する固定資産税は,土地の資産価値に着目し,その所有という事実に担税力を認めて課する一種の財産税であって,個々の土地の収益性の有無にかかわらず,その所有者に対して課するものであるから,その課税標準とされている土地の価格である適正な時価とは,正常な条件の下に成立する当該土地の取引価格,すなわち,客観的な交換価値をいうと解される』

    と判示しています。この判決では土地だけを言及していますが、最高裁平成13年(行ヒ)第224号では「土地又は家屋の価格」としておりますので、建物についても同じように「客観的な交換価値」で把握されるとされています。

    ではこの客観的な交換価値とはなんでしょうか?

    本来は「客観的な交換価値」とは、まさに不動産鑑定士が使命として与えられた「公正な市場で成立するであろう市場価値を指摘した価格」である不動産鑑定評価額を言うのであり、相続・贈与や譲渡では裁判所がこれを支持してきたのです。

    しかし固定資産税評価額だけは裁判所のいう事が違うのです。

    裁判所の言う「客観的な交換価値」とは
     「固定資産税路線価に基づく土地価格と固定資産税評価員が査定した家屋の価格」
    なのだそうです。


    多くの不動産鑑定士がこれまでにも裁判所に挑んできました。
    しかし最終的には固定資産税評価における課税標準額だけは不動産鑑定評価額で更生させることが出来なかったというのが実態です。

    興味ある方は財団法人資産評価システム研究センターが編纂した「固定資産税制度に関する調査研究」をご覧になってください。不動産鑑定士が「市場の守護神」として裁判所と戦ってきた様子が克明に記載されています。
    最高裁平成18年(行ヒ)第253号(http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20070119143514.pdf)のように、不動産鑑定士には到底受け入れられない様な判断を判示しており、なかなか手強いというか、全く勝てないようです。

    裁判所は地方税である固定資産税については、「鑑定士さんよ、細かいことをいちいち言うなよ。いちいち個別要因を考えさせては徴税コストがかかってしかたないんだから、固定資産税は細かいこと言うなよ」というスタンスなんです。確かに課税標準額の最大で1.7%に過ぎず、しかも居住用や事業用不動産では大幅な減免措置を講じており、「大した額ではないんだから細かいこと言うな」は合理的ではあると思います。

     

    (5)結論

     以上、説明しましたように、相続・贈与税や譲渡所得税とは税率が異なる固定資産税については、不動産の事情や個別性は考えてはいけない、というのが判例です。ただし固定資産税評価員も人の子ですから間違う事があります。例えば滅失した家屋にずっと課税していたなんて話はたくさん聞きますし、課税対象の地積を間違っていたという話もあります。

     そうした「明らかな誤り」以外は、更生される余地はないと考えて良いと思われます。

     

     

     しかしだからと言って、相続・贈与税や譲渡所得税の課税標準額が不動産鑑定士の鑑定評価額が無力であると言う少なくない税理士さんの考えは誤っています。

     

     そして土地だけでなく建物についても時価評価は裁判所が認める不動産鑑定士の所掌事項なのです。

     

     この点をご理解頂ければ幸いです。

     

     

    ※写真はイタリア・アッシジの聖フランチェスコ大聖堂です。
      この日のアッシジの街は前日から濃い霧に包まれていました。
      このため聖フランチェスコ大聖堂も霧に包まれてボヤっとしてたんです。
      でも昼から晴れて風が吹き、霧は全て吹き飛ばされてしまいました。
      小職の解説で皆さんの固定資産税のもやもやが晴れて頂けたら幸いです。

     

  • 不動産相続の留意点(3) 「同居の判断と内階段」

    カテゴリー:相続関連 2013年1月19日 記事番号:903

     Aさんは御主人を5年前に亡くされて、今は一人息子の長男夫婦と一緒に住んでます。
     今の家は15年前に建替えたもので、Aさんのご主人名義の土地にあった前の家を取壊し、賃貸住宅で暮らしていた長男夫婦を呼んで二世帯住宅として建替えたものです。建物はご主人と息子が建築費を出しあって、1階はご主人名義、二階は息子名義で登記されていました。

     

     今の家を建てるとき、Aさんは長男のお嫁さんに遠慮して、「完全に二世帯を分離した家を建てましょう。」と提案され、長男夫婦は二階に、Aさん夫婦は一階に住むことにして、二階は専用の外階段を設け、門も玄関も一階と二階とで各々独立専用したものとしました。

     

     Aさんのご主人は5年前(平成19年)に亡くなり、相続が発生しました。Aさんのおうちの敷地は66坪(約220㎡)あり、小田急線の東北沢から徒歩10分ほどの閑静な住宅地にあったため、敷地の相続税課税標準額は1億円を超えていました。
     しかしこの時は「租税特別措置法第69条の4《小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例》」により、課税標準額の80%減額が適用され、実際の査定額は約2000万円ほどになりました。Aさんのご主人は株式投資を多くされており、保有株の残高が1億円を超えていたため、自宅敷地を含めた総相続財産が1億4千万円ほどになっていました。
     総相続財産の中で現預金が殆どなかったため、Aさんは「相続税法19条の2(配偶者の相続税の軽減)」による配偶者の1億6千万円までの基礎控除を利用することにしました。このためご主人の相続の際には相続税は払う必要がありませんでした。敷地は全てAさんが相続して、登記もAさん名義に変更しました。

     

     ご主人の相続後には保有株式を少しずつ工夫して息子や嫁や孫達の名義に変えていき、相続対策を行ってきました。

     

     Aさんは平成24年に亡くなりました。

     この時の相続財産は、Aさんが単独相続した敷地と、生前贈与し切れなかった株式等(時価4000万円)でした。そこで息子さんは5年前と同じように、敷地については「小規模宅地の特例」を前提とした80%控除の計算をして納税申告しました。路線価が平成19年当時から下がっていたので、敷地の課税標準額は9000万円でしたが、80%減額で1800万円になると考え、株式等と合わせた総相続額は5800万円であるとして、基礎控除(5000万円+1000万円×法定相続人数)の6000万円以下なので非課税であると申告したのです。

     しばらくしてから国税庁から「過少申告の更生」指示の連絡が来ました。

     内容は以下の通り。

      ・今回の申告で適用を申請されている措置法69条の4は適用できない。

      ・80%控除は適用されないので、相続額は1億3千万円であり、基礎控除を

       除く課税対象額は7000万円である。

      ・課税対象額7000万円の30%(700万円は控除)の1400万円と延滞税を

       指定期日までに支払いなさい。


     なぜこのようなことが起きたのでしょうか。

     それは措置法69条の4の適用要件の厳格適用が平成22年4月1日から行われるようになったからなんです。

     

    <措置法69条の4>

      個人が、相続又は遺贈により取得した財産のうち、その相続の開始の直前

      において被相続人等の事業の用に供されていた宅地等又は被相続人等の

      居住の用に供されていた宅地等のうち、一定の選択をしたもので限度面積

      までの部分(以下「小規模宅地等」といいます。)については、相続税の課税

      価格に算入すべき価額の計算上、一定の割合を減額します。この特例を小

      規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例といいます。


     ここで被相続人等とは、被相続人又は被相続人と生計を一にしていた被相続人の親族をいいますが、平成22年4月1日からこの「被相続人と生計を一にしていた被相続人の親族」の要件が厳格適用されるようになったのです。

     

     Aさんは良かれと思って完全分離の二世帯住宅を建てましたが、そのために息子さんは「生計を一とする被相続人の親族」ではなくなってしまっていたのです。そのため小規模宅地の軽減特例を受けることが出来なくなってしまっていたのです。


     さて、この話は近所に広まり、同様の規模、年齢層の二世帯住宅居住者達は大騒ぎし始めました。Bさんはご主人を4年前に亡くして、Aさんと同じように息子家族と完全分離の二世帯住宅に住んでました。Bさんは病みがちで入退院を繰り返しており、Bさんの息子さんはAさんの話を聞いて「こりゃ大変だ、何とかしなければ」と思うようになりました。

     

     色々調べていたら、東洋経済誌の7月号に「内階段を作れば大丈夫」という記事が出ていました。そこで早速建築士に見て貰って内階段を追加できないか相談しました。
     建築士は「元々の設計で内階段を考慮した作りになっていないので、内階段を作るためにはどこかの部屋をつぶす必要がある」ということでした。Bさんの息子さんはBさん亡き後には1階を賃貸で貸して家賃収入を得ようと密かに考えていました。そのため「部屋を潰す様な大がかりな工事はしたくない。それに相続が終わったら内階段なんて取っ払ってしまわないといけない」と考えて、知り合いの工務店に相談した結果、写真のような上下開閉式の階段を居室の一部に取り付けて、税務署に「内階段はある」と主張することに決めました。

     

     療養の甲斐なく、Bさんは亡くなり、Bさんの息子さんはもくろみ通り「内階段によって同居親族であることが主張できる」と考えて、小規模宅地の軽減特例を前提に相続税申告しました。
     

     思ったより早く税務調査が入り、なんということでしょうか、

     税務署に「同居」を否認されてしまい、軽減特例適用が出来ないと言われてしまったのです。


     税務署の見解は「被相続人と生計を一にしている同居の親族」とは、日常的に生活の場を共有していることが要件である、という事でした。少なくとも食事を一緒にするなどの共同生活の体がなされてないと同居の親族とは言えず、外形的には「容易に行き来できる屋内の通路を存している」ことが必要であるという判断でした。
     このため、Bさんの息子さんが慌てて取り付けたような開閉式の階段は、外形的には梯子であって日常的に行き来する通路ではない、という判断をされてしまったのです。


     相続にはいろいろな知識が必要です。
     特に不動産の関わる相続については、税理士だけでなく不動産の専門家の判断や助言が重要となります。不動産鑑定士は相続税路線価を決める役割も担っておりますが、「不動産相続の留意点(2)」で説明しましたように、個別の不動産の価格については、都度、不動産鑑定士による鑑定評価を行うことで、間違いのない、損をしない相続が可能となるのです。

  • 高ければ高い?

    カテゴリー:面白不動産 2013年1月12日 記事番号:902

     不動産の価格というものは「価格の三面性」を反映して定まると考えられています。すなわち①原価性、②市場性、③収益性の三面性です。

     

    不動産に限らず、一般に財の価格は以下の観点で定まると考えられています。

     ①その財を取得、製造、再調達するために要する費用がどれほどか(原価性)。

     ②市場においてどれほどの価格で取引されるものか(市場性)。

     ③その財によりどれほどの効用(収益)を得ることができるか(収益性)。

     

    代替性がある財であるならば、本来的にはこれらは同一の経済価値に収れんすると考えられますが、希少性があるものではこの三面性のうちで時に重視される観点に軽重つく場合があります。

     

    例えば田園調布の邸宅などは「収益性」の観点ではとても説明が出来ない価格で取引が成立しています。買いたい人が「収益性」を重視していないからです。

     

    通常、居住用の不動産は「居住性、利便性、快適性、安全性」などが重視されます。例えば利便性では駅や商店街に近い、快適性では眺望や日照・通風・乾湿に優れているとかいった点が重視されます。だからタワーマンション等では上層階ほど快適性が高いので価格が高くなる傾向があります。

     

    すなわち「高層階ほど価格が高い」のがタワーマンションの特徴です。

    それは分かります。

     

    ではこの写真の建物はどうでしょう?

     

     

     

    ここでは面白い不動産を紹介したいと思います。

     

    写真はイタリア・トスカーナ地方にあるサンジミニャーノという町です。

    この町には不思議な「塔」が幾つもあるのです。

     

     

    この町には幾つも高い塔がありますが、その中でも最も高い塔がこのトーレ・グロッサ塔なんです。

     

    高さはなんと52m!

    およそ18-19階建てのマンションの高さです。

     

    この塔はなんのために建設されたと思いますか?

     

     

     

    まずは塔の中に入ってみましょう。

     

     

     

    全ての塔は、このように壁に沿ってらせん状の階段を設けています。

     

    つまり塔内の空間は「塔の上に上るための階段空間」だけなんです!!

     

    通常、高層建築は何かの建物利用を目的として建設しますよね。

     

    しかしイタリアではこれらの塔は「高い所に上るため」のみを目的として建設されているのです!!

     

    それは何を意味するか????

     

     

     

     

     

     

    この写真はサンジミニャーノの街で一番高い塔であるトーレ・グロッサ塔の頂上から見たものです。一番高い塔ですから、「街で一番高い位置」に上っているんですよね。他の塔を「全て見下ろせる」んです。

     

    もうお分かりになりましたよね。

     

    「自分が一番になれば、他を見下ろせるから」が、こうした高層塔建設の唯一の動機なんです。すなわち

     

      「高さが高い = ステータスが高い」

     

    ということなんですよ。

     

     

    こうなるとこの塔の価格を決める要因は何でしょう。

     

    収益性は無関係ですよね。今は多少入場料は取ってますが、日々の修繕費にはとても満たない額ですから収益性は皆無です。

     

    市場性は通常は居住用ならば上記のように「居住性や快適性」等が重視されますが、建物自体、屋上というか頂上からの眺望を眺める以外の機能がありませんから、市場性も希薄な気がします。

     

    だとすれば、この建物価格は「原価性」すなわち再建築するために要する費用という観点から市場参加者に把握されるものと考えられます。

     

    このように一口に不動産の価格と言っても、用途によって価格三面性が均等にひょうかされるわけではなく、用途によってはある特定の面だけが重視されて価格が決まると言ったものがあるんですね。

     

    もちろん、東京タワーやスカイツリーも一緒です。

    間違いなく重視されるのは「原価性」だけでしょう(笑)

     

  • 不動産相続の留意点(2) 「不整形地には気をつけて」

    カテゴリー:相続関連 2013年1月8日 記事番号:900

    相続不動産が長方形や正方形で、幅員4m以上の道路に等高に十分な間口で面しているのならば、何も悩む必要はありません。特に50坪~60坪の宅地で自宅の敷地として利用しているのならば、「居住用小規模宅地の特例」適用要件さえ気を付けていれば、おそらく不動産鑑定士が腕を発揮する機会は少ないと思います。

     

    と言いますのも、

     

    そうした整形で道路付きの良い宅地は、

    通常は減価要因が無くて税務主体と争う余地が少ないからです。

     

    しかし、不整形地では話が違います。

     

    不整形地の場合は減価度合いに個別性が強く、

    不動産鑑定評価に依る価格と、税務主体の査定する価格に、

    差異が生ずる場合が多くなるのです。

     

    ここで気を付けなければならないのは「不動産鑑定評価」とは何かと言う点です。

    国土交通省が定める"不動産鑑定評価基準"では

    「不動産の鑑定評価とは、現実の社会経済情勢の下で合理的と考えられる市場で形成されるであろう市場価値を表示する適正な価格を、不動産鑑定士が的確に把握する作業」とされています。

     

    「市場価値」というのがキーワードです。

    すなわち不整形地が市場でどのように評価され、取引額にどのように反映されているかを実証的に調査し、的確に判断した価格を示すことが重要なわけです。

     

    実例を示してご説明しましょう。

    写真は不整形地に分割分譲された事例を示します。

    元々は間口1×奥行2の長方形で80坪弱の宅地でしたが、これを戸建開発業者が不整形地2区画と整形地1区画の3画地に分筆し、建売と宅地分譲したものです。

    不整形地には木造二階建てが建ち、整形地には木造三階建てが建築中です。

     

    この整形地(4-6)と不整形地(4-19、4-20)とでどの程度の価格差が出ると思いますか?

     

    (1)市場での取引事例

     

     この事例の場合の実際の取引額を以下に示します。

      事例地(4-6)  550,000円/㎡(間口7m、奥行11m)

      事例地(4-20)   360,000円/㎡(間口2.5m、奥行22m)

     

     すなわち不整形による減価割合は以下の通りです。

      1-360000/550000≒0.35

     

     市場ではこのような不整形地では整形地に比べて35%も低い額でしか売れていないことがわかります。

     

     

    (2)税務主体による査定の場合

     土地に対する相続税の課税標準額を査定する方法は、「財産評価基本通達」に定められた全国統一基準による査定になります。地域性の反映の一切ない、日本どこでも同じ査定式での計算によって、路線価に対する補正計算による課税標準額が計算されることになります。

     http://www.gyosei.co.jp/home/pickup/3180019/zeiroku_tsutatsu/a00za27601.html

     

     計算方法は単純です。

     正面路線価に地積を乗じて、以下の補正を行うものです。

      ①側方路線価加算

      ②間口狭小補正

      ③不整形地補正(奥行補正または影地補正)

      ④無道路地補正

      ⑤崖地補正

      ⑥容積率補正

      ⑦私道負担率補正

     

    この事例の場合、事例地(4-6)は整形ですので補正なしですから、ここが基準になります。事例地(4-20)が不整形地ですので、この補正が問題となるわけです。

     

    事例地は中間画地、前面に舗装区道(幅員4.2m)、用途地域は準工業地域、容積率300%、建ぺい率60%の防火地域です。このため①④⑤⑥⑦は無関係で、②と③だけが関与します。

     

    間口は4m未満なので前記通達の付表6より 補正率は0.90です。

    不整形地補正は奥行長大か影地割合のいずれか有利な方とされています。

      奥行長大補正(付表1)では1.00

      影地割合補正(付表5)では0.94  ←こちらを採用

     

    よって補正率は以下の計算で求められます。

      1-0.90×0.94≒0.15

     

    すなわち本事例地の場合、税務主体による査定では、不整形地は整形地に比べて15%しか安くならないのです。

     

    (3)差異発生の原因

    どうしてこのように差異が出ると思いますか?

    それは単純に言えば「財産評価基本通達」が一律の査定しかできず、不動産の地域性や個別性を加味していないからなのです。

     

    具体的にこの事例について説明します。

    まず整形地(4-6)と不整形地(4-20)において、路地状部分を除く敷地の間口は、各々7mと6mで、不整形地の方が間口が狭いために建物間取りの制約が多くなりますが、それだけではこの価格差は説明できません。

     

    一番の問題は、この地域は指定容積率が300%で、前面道路幅員の制約による基準容積率は252%です。この容積率ならば準耐火建築による三階建てが可能ですが、不整形地では現実的には三階建てが困難です。

    三階建てでは建築基準法施行令第126条6の「進入口の確保」が必要です。間口4m以上の接道があればベランダ等で代替進入口として建築確認を受けることができますが、幅員2.5mの路地状敷地では火災時に消防員が進入できる幅75cm以上の進入口を道路から見える位置に設置する必要があり、設計上の制約(専ら費用的な面が多いですが)となって、実際的には三階建てが困難になってしまうのです。

     

    せっかくの指定容積率を活かしきれない、それがこの不整形地における大きな減価要因だと考えられます。

     

    (4)不動産鑑定士の役割

    以上に示しましたように、税務主体の査定と市場評価が異なっている実態があるとき、それを税務主体に対して実証的に論証して「正しい評価額」を指し示すことができるのが不動産鑑定士による鑑定評価なのです。

     

    色々な減価要因に対して、各地域でその価格への影響度合いというのは異なります。上記のような都市計画の指定状況によっても異なります。

    繰り返しになりますが、財産評価基本通達は全国一律の計算式による査定なのです。個別性を十分に反映したものとは言えません。特に個別性の強い不整形地等に関しては一律査定では相続人に不利な査定がなされてしまう場合が多いと考えられます。

     

    そうした不利な査定を是正し、正しい市場価値に基づく課税がなされるように、不動産鑑定士の鑑定評価が必要となると考えます。

     

     

     

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