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借地権価格の正しい求め方(その1

カテゴリー:業務紹介  2019年7月30日 

借地権の価格はどのように求めたらよいでしょうか。

借地権とは地主さんから土地を借りて家や店舗を建て、地主さんに毎月の地代を払って使わせて貰う権利を言います。借地権は一般に物権に近い独立的な強固な権利であり、相続の対象になりますし、売買の対象にもなります。

では借地権の価格はどのように決めたらよいでしょうか。

まず相続の際には「路線価」があるので、路線価に面積を乗じて、さらに「借地権割合」を乗じて計算できます。具体的には路線価図を探して対象地の路線価と借地権割合が幾らかを確認します。















例えば図1にある地域の路線価を示しますが、借地権割合は普通商業地がC70%)、一般住宅地はD60%)が一般的です。すなわち、商業地なら土地の価格の70%が借地権価格で、住宅地なら土地価格の60%が借地権価格であることが路線価図に示されているのです。


ところで、借地権には木造2階建の戸建住宅等として使用する契約である非堅固借地権と、鉄筋コンクリート造の高層ビル等を建設できる堅固借地権があります。非堅固の場合には、例え基準容積率が400%であっても木造2階建しか建てられないため、土地の有効活用が出来ない条件での借地契約です。木造2階建しか建てられない非堅固借地権と、高層ビルまで建てられる堅固借地権「同じ借地権価格」で良いのでしょうか。


今回はその点を実際の市場取引における借地権価格を元にして、実態を明らかにします。

 

実際の借地権の取引価格が、土地価格(更地価格)に対してどれほどの割合(下式で求める「更地割合」)で取引されたか、調査した結果例を以下に示します。

更地割合 借地権取引価格÷ 売買事例地の更地鑑定評価額




この例では調査依頼を受けた大田区の借地について調べましたので、大田区を中心に品川区、世田谷区と隣の川崎市中原区までを同一需給圏として調査しました。その結果を図2に示します。図には路線価図に示される「借地権割合」の、各事例地の値を併記しています。非堅固契約は住宅地で一般的な契約なので借地権割合は60%が多く、堅固契約は一般に商業地での契約なので借地権割合は70%が多くなっています。もちろん住宅地でも7階建程度までの共同住宅所有を目的に堅固契約を締結する場合が有ります。


2には非堅固契約の事例(A-G)を左側に、堅固契約の事例(a-f)を右側に示しました。


図で判るように、非堅固契約の更地割合は50%強で、堅固契約の更地割合は80%弱で、両者ともほぼ横並びです。しかも路線価に示された借地権割合とは無関係に更地割合が市場では定まっていることが判ります。


これはどういうことでしょう?


(1)非堅固契約の場合

契約により木造2階建しか建てられないので、土地の有効活用は望めません。このため容積率が高い商業地であっても「借地権の価値」は抑制されていると考えられます。契約で使用方法が抑制されている、すなわち地主の影響力が強い状況下にあるということで、借地権の価値は地主が留保している価値と同等で、土地の価値が両者で折半の関係にあると見られます。これは社会通念的にも裏付けられるもので、一般的な戸建住宅向け借地権では「借地権価格は更地価格の半分である」という慣習的価格感と一致しています。


(2)堅固契約の場合

堅固契約ならば容積率一杯の高層ビルの建築が許容されます。すると更地同等に土地本来の価値を借地権者が享受できますので、更地に近い経済価値で取引されることになるのです。建物建替時や契約更新時に一時金を地主に支払って許可を得る必要があるため、更地に比べて若干の減額が有りますが、借地権割合が60%でも70%でも関係なく、更地のほぼ80%近い経済価値で市場に把握され取引が成立しています。


 このように路線価の借地権割合は税務上の目安に過ぎず、市場では借地権割合とは無関係に借地権価格が決定されていくと言う実態が有ります。なお、各地域の社会的慣習によって更地割合の水準は異なります。このため借地権の「正しい時価評価」を必要とする場合には、不動産鑑定評価が必要となりますのでご注意ください。







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