ーーー本当の企業再生への道(2)---
「多額の債務を抱えている企業は資産活用での再生可能性が高い」
カテゴリー:業務紹介 2014年8月17日
ここでは認定支援機関と共に甲社に対して策定した「実現可能な抜本的な経営改善計画(実抜計画)」に基づく、経営改善計画策定の内容について説明します。
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(1)甲社の概要
・甲社は平成24年に50期目を迎えた首都圏の地場工務店。主に造園関連工事が主力で、近隣鉄骨アパート等の建築工事も行ってきた。
・年商216百万円(H24)、決算書上では常に黒字を継続。
年商2億円強で短期借入金が116百万円(社長貸付36百万円)、長期借入金が113百万円。固定資産は特にない。
・ここ10年の公共事業縮小、および入札制度の変更により、徐々に収益力が低下してきている。
・2代目のA社長(70歳)の長男(40歳)は大手不動産会社に勤務し、工務店は継がないと明言。昨年4月、社員に廃業を宣言したため、キーマンとなる社員が次々に退職し、現在は社員4名で営業継続している。
・A社長は地元の名士で、相続された300坪超の土地の一部に鉄骨造三階建アパートを建て、駐車場と自宅敷地として利用していた。アパートは築20年を超えていたが、満室を維持しており、その収益を原資として会社への社長貸付が行われてきた。
(2)甲社の財務状況の実態
・売上高216百万円に対して、「未成工事支出金 200百万円」を架空資産計上し、実態として借入金分がほぼ全額債務超過に陥っていた。
・公共工事への入札資格維持のために長期にわたってドレッシング(粉飾)が行われ、実際の累積赤字(2億円)は借入金と社長貸付で埋め合わせられていた。
・債権者である金融機関は乙銀行だけにほぼまとめられており、乙銀行は資産家であるA社長の個人資産の担保能力を見て、長期にわたって貸し付けに応じてきていた。
(3)検討した対策案とその検討結果
①全資産売却
自宅敷地およびアパート敷地を更地化、一括売却すれば、マンションデベロッパーに2.5億円~で売却可能。売却後の手取りは5千万円程度の見込み。
→先代からの土地を守りたいので全部売却は抵抗が大きい。
②事業譲渡
株式譲渡は引き受け手がない。
事業譲渡で~5百万円程度の買手があった。
→そのような低額なら細々でも自分で事業継続する。
③収益マンション事業への転換
建設工事事業から収益マンション事業への転換を行う。
→金融機関の追加融資を受けるためには緻密な計画が不可欠。弁済計画の確実性を高めるために、収益最大化できる建物の設計を行う必要がある。そのためには同一需給圏の売買・賃貸の市場分析を十分に行って最有効使用を判定すると共に、収益見込みについても地域性を十分に反映した賃料見通しを得る。
(4)マンション設計の留意点
・基準建ぺい率60%限度の建築面積で200%の基準容積率を活用するための最有効使用の観点からは6階建の高層マンションと判断した。条例に基づく駐車場附置義務を回避するために、開発面積を500㎡未満に分筆し、1階部分も駐車場でなく貸室として有効活用する。
対象地はやや駅からやや離れている(賃貸を請けている不動産屋の表示距離は徒歩10分だが、実際の道路距離は徒歩13分である)立地条件を考慮してワンルームとせず、競争力の観点から二人入居が可能で、かつ賃料が10万円以下(別途共益費)となる1DK(30㎡程度)とする。
・RC造6階建の高層マンション(全32戸)とする。
・間取り設計においては市場分析結果を反映して、二方向採光を基準とし、各戸の間口を5m以上確保するなど、競争力の高い設計とした。
このように最適設計されたマンションによって、再生計画を立案した。
その結果は次回に紹介します。
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表紙の写真はかの有名なラッフルズホテルのシンガポールスリングです。
シンガポールにあるこの有名ホテルのロングバーでは、殻付落花生が枡に入れられて出てきます。そいつを手で剥いてピーナッツを取り出して食べるんですが、殻は無造作に床に落とすのがここの流儀です。
さて、このラッフルズホテルには実は二つのメニューが存在します。
一つは現地の方用、そしてもう一つは観光客用です。
前回行ったとき初めて気づきました。と言うのは、最初は現地用のメニューが出てきて注文し、勘定するときに値段が違うので確認のために見せられたのが観光客用メニューでした。
最初に給仕したお店の方が間違えて現地用のメニューを私に出してしまったんですね。
知らないとぼったくられるのです。
マンションの建築費用でも実はそうした現実があるのです。
次回はその実例を紹介いたします。