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  • 不動産鑑定業者と不動産業者との違いについて

    カテゴリー:業務紹介 2013年7月19日 記事番号:924

    不動産業に携わる資格として最も有名なのが「宅地建物取引主任者」です。
    いわゆる「不動産屋さん」の資格ですね。
    不動産鑑定士を御存じない方の多くは、初対面で名刺交換等をした時、「不動産○○」という言葉を見て「不動産屋さんですね」とおっしゃいます。以前はついついそう言われる方に対して「不動産鑑定士とは何か」を一生懸命説明したものですが、最近はやめました。と言いいますのも、不動産鑑定士を御存じない方は、直接我々の専門職業能力がお役に立つことが滅多に無いということが判って来ましたので。

    もちろん弊社は不動産業免許を取得して、不動産業者として営業もしておりますので、「不動産屋さんなんですね」と言われてもまぁ良いか、と思うようになったと言う点もあります。多くの不動産鑑定士は一次試験で行政法規の科目を勉強してますので、鑑定士受験中に宅建主任者も取ってしまっています。だから不動産業の免許を取っているかどうかは別にして、大部分の不動産鑑定士が宅建主任者資格も持っているのが実態ですからね。

    最近、とあるお客様の収益マンションの設計に関わることになり、最有効使用としての間取りや階数について検討を進めています。お客様はこれまで二棟のアパートを建てて安定収益を上げてこられており、息子さんは中堅不動産会社に勤務する不動産業の方です。

    お客様は「御近所の方々に配慮してできるだけ低層の設計にしたい」とおっしゃる。
    息子さんは「免震構造採用して安心を売りにすべき、間取りもワンルームからファミリータイプまでバリエーションを色々取り込んでいきたい」とおっしゃる。

    気持ちはわかりますよ、おっしゃることはごもっともです。
    でも不動産鑑定士は最有効使用を、対象不動産に係る市場を実証的に分析することで判断する専門職業家です。最有効使用とは「最大の収益が上げられる使用方法(設計)」なんです。

    (1)低層化したいという意見について
     もし私がハウスメーカー営業マンだったら「お客様の要望なんだから」とそれを採用するでしょうね。だってお客様の意向に沿わなければ「他のハウスメーカーを当たるよ」と言われてしまいますからね。
     でも私は不動産鑑定士です。
     次の点で低層化は受け入れられません。
     
     まず第一に、周囲の隣地は斜線制限を受けない10m以下の建物が敷地いっぱいに建ち並んでおり、建築面積が大きくなって隣地との離隔距離が小さくなり、日照通風が悪くなります。特に1階住戸は致命的で、近所の低層マンションの賃料は低位に抑制されてしまっています。
     すなわち低層マンションでは収益力向上が望めないのです。

     第二に周囲が三階建以下のマンションですから、高層化すると目立つのです。当然日当たりも抜群で、この地域では高層マンションは絶対に競争力が高くなるのです。何と言ってもこの地域には5階建て以上が1軒もない。だから勝てるのです。競争力の高い不動産は当然に空室率の点でも賃料の点でも優位です。すなわち最有効使用は「低層マンション」ではなくて「高層マンション」なんです。





    (2)免震構造とタイプのバリエーション
     東日本大震災後、東京都心のオフィスビルでは二極化が現れました。
     事業継続計画(Business continuity planning、BCP)の観点から、耐震性の低いビルから、免震構造等を採用した耐震性の高いオフィスビルに移転する動きが顕在化し、賃料や空室等の点で二極化が生じているのです。
     またタワー型の分譲マンションでも、免震構造を採用していないと売れ行きが鈍いなどの明らかな市場参加者による選別が行われています。免震構造のない超高層マンションは長期周期の地震に見舞われて、長時間に渡って横揺れが続いたと聞いてます。

     しかし中低層の賃貸マンションではどうでしょう。
     そもそも中低層でどれだけ揺れるというのでしょうか。
     阪神大震災のときに小職は神戸で被災しましたが、当時は未だ旧耐震基準の中高層ビルが補強もされずに残っていて、少なくない数のビルやマンションが直下型の震度7という巨大地震によって破壊されました。しかしこれは「免震構造」以前の問題で、建物の構造設計と施工強度がそもそも低い建物が壊れたというだけのものなのです。

     賃貸の中低層マンションで免震構造を採用すると言うことにどれだけの市場参加者、すなわち賃借人が「その価値」を認めて、高い賃料を支払ってくれるのか、その実証データが見たいものです。

     またファミリータイプを入れると言う主張については、「賃料単価は賃貸面積に反比例する」という当たり前の判断基準を無視しています。そもそもこの地域にはファミリータイプのUR住宅が豊富に存在しており、URの設備や賃料に勝つのは困難です。

     不動産鑑定士は市場分析に基づいた実証データによって、鑑定評価書の中で最有効使用を判断していくのです。
     決して直感で決めるものではないのです。

     不動産業者と不動産鑑定業者の一番の違いは、不動産の価格を納得して貰う人数の差で説明するとわかりやすいです。

     不動産業者は「たった一人」がその価格に納得すれば「勝ち」なんです。
     その価格で買ってくれる人、売ってくれる人、が一人居れば良いのです。

     これに対して、不動産鑑定士の決定した価格は「万人が納得する価格」と言うのが原則です。両者の端的な違いはこの点なんです。だから我々は徹底的な市場分析を行い実証的なデータ収集を行うのです。

     免震構造や間取りのバリエーション、これらはマンションオーナーに対して説得できれば「勝ち」になりますよね。でも不動産鑑定士は「市場に対する競争力を判断」するのが仕事ですから、オーナーだけを説得すればよいと言うものではないのです。

     これからお客様に納得して貰えるように不動産鑑定評価書を通じて説明していくことになりますが、最後はわかって貰えると思います。説得力こそが専門職業家としての最も重要な資質ですからね。

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    さて、何ゆえに鰻丼の写真とお品書きの写真を出してきたのかを説明させて頂きますね。



    一番最初にお見せしたのはうな丼です。
    お品書きにあるように、うな丼は2550円ですが、うな重は松でも1850円です。
    普通、うな丼とうな重はどっちが高いでしょうかね?

    ○○丼は庶民のファストフードですから安いのが当然。
    ○○重は畏まった席で頂くものですから、多少高くても良いって思いますよね。

    でも違いますね、うな丼のほうが高い。

    なぜでしょう?






    実はこちらのお店ではうな丼は二重になってるんですね。
    ご飯の中に蒲焼がもう一匹仕込まれてるんですよ。

    理由がわかれば簡単、納得ですね。

    ちょっと見た目ではわかりませんが、
    ちゃんと調べて理由を明示すれば誰もが納得してくれるんです。
    理由を示して万人に納得して貰うのが不動産鑑定士、

    ってことでお後がよろしいようで。

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