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適正地代の記事一覧

  • 「弁護士選びにもご注意下さい」

    カテゴリー:適正地代 2014年2月1日 記事番号:927

    様々な民事上の争いに対して、弁護士さんに相談をし、力になってもらうということは重要です。争う事象の金額にもよりますが、「争いに勝ちたい」のなら、弁護士さんに相談や力になって貰ったほうが良いです。常識的にはそう考えて頂いた方がいいと私は思います。

    でも、弁護士さんって、とっても多いですよね。
    特に新司法試験になってからは、とっても身近に弁護士さんがいるものですから、どのように弁護士さんを選べばよいか迷ってしまいますよね。

     

    弁護士と言うのは、殆どのことが出来るスーパーマンなんですよ。
    すなわち「本人の代理人」が出来るのだから、本人が出来ることは全て出来ます。なので殆ど出来てしまうのです。行政書士や税理士や弁理士の仕事は本人代理なので全て弁護士が出来ます。司法書士の仕事も「双方代理」という特別な手続きを除けば(甲乙両者の合意があれば可能)弁護士が出来ます。

    弁護士さんが出来ないのは特別な技術が必要なことですね。例えば、
     ・一級建築士のする設計(建築確認申請は代理出来ます)
     ・土地家屋調査士のする境界確認(表示登記は代理出来ます)
     ・宅建業者のするマンション販売(売主の地位は代理できます)
    他にも高圧ガス・危険物管理、施工管理技術者、理容師、管理栄養士に看護師や幼稚園の先生なんかはもちろん出来ませんね(笑)。

     

    弁護士さんが出来ることはとても多いのですが、実は資産・財産に関わる資格として弁護士さんが不得意とするのが「不動産」と「企業会計」です。もちろんそのために不動産鑑定士と公認会計士と言う資格があり、弁護士さんと一緒に戦う専門職業家がいるんですよ。

    ここではその弁護士さんが不得意な事象での、「選んではいけない弁護士」のお話をさせて頂きます。

     

    ========================================= 

    先日のことです。
    私の仲間から「友人が困っているので相談に乗って欲しい」と依頼が来ました。
    早速、現地に行って「ご相談者」の方と現場不動産を前にして状況を伺いました。
    簡単に言えば以下のような状況でした。

    ・20年前の祖父の代から貸している土地がある。
    ・借地人は土地上に平屋建物を建てて焼き鳥屋とスナックを経営している。
    ・スナックのカラオケがうるさくて近隣から文句を言われている。
    ・弁護士に相談したら「地代を倍に値上げして追い出そう」と言われた。
    ・地代値上げには鑑定評価が必要なので、ネットで不動産鑑定士を探して
     「地代値上げできるか?」と聞いたら、「倍に出来る」と言われた。

     

    この状況で小職に相談が来ました。
    ご相談者にお会いする前にこの地域の地代の相場をREINSで広範に調査し、さらに土地価格を査定するために公示価格等をざっくり調べてから、現地にいらっしゃるご相談者のお家に伺いました。


    【対象不動産】
    地積    約38坪
    用途地域  第一種中高層住居専用地域
    借地契約  旧法借地権
    地代    月額5万円
    一時金   なし(正確には当時一升瓶を2本持って来たそうです)
    借地権割合 60%

     

    対象不動産は住宅地にある店舗付住宅でした。
    店舗の借地人さんは「1千万円払ってくれたら出て行くよ」と行っているそうです。

    「現状の月額5万円の地代を二倍にして追い出す」というのが、ご相談者の依頼した弁護士さんの描いた策略でした。そのために地代を二倍にするのが妥当であるという不動産鑑定評価書を書いてくれる不動産鑑定士を探しているのだそうです。


    普通の不動産鑑定士なら「38坪の住宅地に月額地代5万円」という話を聴いた瞬間に「これはおかしいぞ」と判ります。まず、その水準が判らない不動産鑑定士には地代評価の話は持って行ってはいけません。その不動産鑑定士は『世の中の常識』を知らないお坊っちゃまですから。


    まず対象不動産の更地価格を査定した結果、「50万円/坪」程度が正常価格であることが分かりました。また固都税(固定資産税+都市計画税)は、正面路線価より月額70円/坪でした。


    【正常地代の査定】
    不動産鑑定評価基準に従って、正常地代は①積算地代、②比準地代から求めます。

     

    ①積算地代
     積算地代=更地価格×期待利回り+必要諸経費等 で求めます。

     更地価格は上記の通り、50万円/坪です。
     住宅地の期待利回りは旧借地法の借地権の場合、通常の上限が1%です。
     なお借地借家法(新法)による定期借地権の場合は2%程度を取れる場合があります。 必要諸経費等は固都税なので、上記の70円/坪です。 よって
     500,000円×1%÷12ヶ月+70円≒487円/坪(18,500円)

     

    ②比準地代
     類似する不動産の地代から求めます。

    この地域の借地権取引の事例から地代を求めました。
    その結果、300円/坪から600円/坪の地代であることが判りました。
    概略を求めるので上値を取って600円/坪とした場合でも

     600円/坪×38坪≒22,800円

     

    この両者の月額地代から査定される正常地代はおよそ2万円です。
    現況の「月額5万円」でさえも高すぎるのです。
    いわんや「10万円に値上げ」など出来るわけがありません。

    なお、更地価格が50万円/坪(1,900万円)ですので、借地権割合60%ならば1,

    140万円であり、借地人の主張する「借地権買い取り代金1千万円」は決して悪い金額ではありません。


    もしも借地人が地代値上げを不服として調停を拒み、裁判になった時、普通の不動産鑑定士が裁判所から選任されますので、その時に原告側について「月額10万円が妥当」として鑑定評価書を書いた不動産鑑定士の意見は当然に否定されます。もっと言えば、そこまで乖離した鑑定評価額を書いた不動産鑑定士は懲戒対象(不動産の鑑定評価に関する法律第42条)になります。


    小職がご相談者の依頼した弁護士さんにお伝えした事項は以下の通りです。

     

     ①地代値上げは無理だ。現況でも正常地代の二倍も取っている。
     ②高額地代を支払っていることから借地権価格が下がっている。
     ③「借地権価格が低い」ことを主張して買取請求をすると方針を変えよう。
      借地権買取価格の目標は500万円までいけると思う。

     

     正常価格より倍以上も地代を払っている借地人は、すなわち借地権価格を半分しか価値を把握していないと看做します。従ってこれを民法の基本に従って「権利の上に眠るものはこれを放棄したものとみなす」として、借地権価格に反映させることができると主張するのです。それを主張すればご相談者が借地権買取を行う際の支弁金を低減できるのですから。

     

    【結果】
     なんとその弁護士は小職の忠告を無視して、自身が立てた策略にこだわりました。 現在、調停をしています。
     おそらく調停は不調になり、このまま行けば最終的に裁判となって、原告側敗訴の「地代値下げ」となるでしょう。なぜならそれが妥当な判決だからです。

     しかも地代値下げとなれば、その後に借地権買取訴訟をした場合、「借地権買取なら、「借地権相当額(1,190万円)+建物価格+立ち退きのための費用」を払えという判決が下されることでしょう。

     弁護士の選定を誤ったばかりに、ご相談者が意図しない結果、しかもその後には最悪の状況に陥ってしまう可能性が高くなっていると小職は考えます。


     弁護士さんに依頼する場合、不動産の場合には弁護士を選んだほうが良いです。
     さもないと意図しない結果を招きます。
     「普通の不動産鑑定士」ならすぐわかる事を、弁護士さんは知りません。

     

    ====================================

     弁護士さんに言いたいのですが、

     「住宅地の地代」は更地価格の1%が限度です。

     更地価格は路線価を0.8で割り戻せばおよその価格は出ます。
     それ以上に地代を取れることは稀である事を知って置いて下さい。
     これは東京の超一等地でも一緒です。

     詳しく知りたい方は小職に照会下さい。
     相談無料でお答えさせて頂きますので。


    ==================================

    トップに掲載した写真はミャンマーのヤンゴンにあるインヤー湖です。この中央の木立の向こうにアウンサン・スーチー女史が軟禁されたスーチー邸があります。

    2009年5月、米国籍の宗教家がこのインヤー湖を泳いでスーチー邸に上陸したという軍事政権の主張により、スーチー女史は軟禁を2年間延長されました。

    日本にもそのニュースは流れたので、その話はご存知の人が多いことでしょう。

    でも、ミャンマー人の大多数が知ってます。
    このインヤー湖は藻が多くて泳ぐのは困難であり、しかも毒蛇が多いのでミャンマー人でインヤー湖を泳ぐ人間は一人も居ないので、米国籍の宗教家が泳いでスーチー邸に言ったという話は、全世界を欺くでっち上げ話だったんです。

    先日、ミャンマーに行って現地人の方からその話を初めて聞きました。
    日本のマスコミはどこもそんな話を報道しませんでした。
    本当に知らなかったのか、握り潰したか。
    こういった話題には敏感な●●新聞はいつもなら大きく記事にすると思うのに、ミャンマー軍事政権は中韓と癒着してましたから、韓国に不利になる報道はしませんでしたね。

     


    (スーチー女史が軟禁されていた自宅)

    ========================================

    知らないと事実を誤って判断します。
    インヤー湖は見かけは穏やかな湖です。
    でも実はそんな話では片付かない、ドロドロした問題が実はあるんですよ。
    不動産問題に対する弁護士選定でも一緒なんですよ。
    間違うととんでもないことになってしまうんですよ。

  • 不動産屋さんも知らない適正地代
    (とんでもなく大きく誤解されてます)

    カテゴリー:適正地代 2013年2月23日 記事番号:915

      ※水槽の前に「ご自由にお持ちください」って書いてあるからと言って

        高級金魚のランチュウを持って帰ったら捕まりますよ(笑)

        誤解は困りますよね~
        でも素人を誤解させる方々はもっと困ります。


    居住用住宅地の借地についての地代というのは幾らぐらいが適正なのか、

     

    不動産屋さんに聞くと、大抵はこう答えると思います。

     

    「そうだね、普通はおよそ固定資産税等の2~3倍くらいだよ」とね。

      ※固定資産税等とは「固定資産税+都市計画税」です。

     

    そしてちょっと物知りの不動産屋さんなら得意げにこんな風にも言うでしょう。

     

    「調停員の指導書にも2-3倍なら適正地代だって書いてあるんだよ」ともね。

     

     

     (注):『民事調停の適正かつ効率的な運用に関する執務資料』

         最高裁判所事務総局 1991年

       (3) 商事調停における裁定制度(民事調停法31条)の活用

       「b 最終合意賃料の公租公課(2の(3)のウ参照)との倍率(地代について)で

        最終合意賃料が公租公課の2~3倍に収まっているときは、加減要素とし

        て考慮しない」との記載を引用して、よく考えずに言っているようです。

     

     

    これ、実はものすごく大きな誤解であり、

     

    借地人の地位を不当に高めてしまっている悪しき慣習なんです。

     

     

    「固定資産税の2-3倍」という事について国がどう考えているかというとね、

     

    実は法人税法上の条文で

     

        「固定資産税の三倍以下ならば低廉な地代水準なので

         収益目的の貸土地事業ではない」

     

    と明確に定めているんです。

     

    固定資産税等の三倍以下の地代は収益目的でないって国が言ってるんですよ(笑)

     

     

      ※お寺さんが地主って土地が多いですよね。

        昔からお寺は地代収入で運営される貴族支配的な存在でした。

        しかし、お寺が「貴族階級」にならないように国が制限を設けてるんです。

        お寺は宗教法人であり公益法人認定も受けています。

        公益法人は公益事業を行う主体として法人税や固定資産税について、

        免除や減免を受けています。

     

    公益法人は「収益を目的とした事業」を行ってはいけません。

     

    もし公益法人である宗教法人が、収益目的の事業を行ったら、

     

    普通法人と同じように法人税や固定資産税を賦課されることになります。

     

    では貸土地業について「収益を目的としない公益事業」となる水準とはどういった水準だと思いますか?

     

    『そりゃ固定資産税に毛が生えた位、せいぜい固定資産税の1.5倍とかじゃないの?』

     

    そんな風に思われましたかね(笑)

     

    最下段に該当条文を転記しておきましたから見てみてくださいな。

     

     

      「公益事業とするのは固定資産税の3倍以下という低廉な地代の場合」

        (法人税法施行規則第四条等 参照)

     

    わかりますか?

     

    固定資産税の3倍というのは公益事業として認可される低廉水準なんですよ!!

     

    2-3倍なんて借地人が地主の享受すべき利益を搾取している水準!!

     

    借地人が「固定資産税の2-3倍が適正水準だ!」などと言うのは

     

    根拠のない言いがかりに近いものだと私は思います。

     

    いわんや不動産の専門家である宅建業者が「固定資産税の2-3倍が適正」などと

     

    一般客に言うのはいかがなものかと思います。

    確かに市場地代は現にそうした水準があるかもしれませんが、

     

    調停員の話まで出して「適正」などと言ったら駄目です。

     

     ※横須賀先生によれば住宅地の平均は4.25倍、商業地で3.81倍だそうです。

      http://yokosuka.jp/knt/tpc/b/tpc-b0105%20.htm

     

    ここで少し解説補足しますが、そもそも住宅地の不動産の固定資産税は

     

    200㎡以下は1/6に減免され、200㎡超部分も1/3に減免されてます。

     

    都市計画税も同様の減免を受けています。

     

    ですから、そもそも固定資産税水準が安いのです。

     

    そんな安い水準の固定資産税等の3倍くらいで借りられてしまったら、

     

    地主さんは土地所有者としての効用を享受できてないのです。

     

     

    上述の調停資料は「商事調停」であり、商業地における指導要領だと思われます。

     

    商業地は住宅地と違って固定資産税の減免はせいぜい3-4割。

     

    固定資産税等の価額水準がそもそも違うのです。

     

    だから2倍から3倍でもかなり地代水準になるのです。

     

     

    現在主流になっている定期借地権の地代は、

     

    更地価格の2%~3%が年額地代が相場となっています。

     

    更地価格の70%が固定資産税路線価で、その1/6に減免されているので、

     

    実効の固定資産税等は更地価格の0.20%程度です。

     

    定期借地権の地代は固定資産税等の10倍から15倍。

     

    これが現代における適正な地代なのです。

     

    ちなみに所得税法や法人税法上の「借地権の発生しない適正な地代」は更地価格の6%です。

     

    住宅地なら固定資産税等の30倍が適正地代なのね(笑)

     

     

    もし地主の方で「地代が上げられず困っている」という方が居られれば、

     

    「適正な地代」を不動産鑑定評価書でキチンと表して、

     

    裁判で堂々と戦う事をお勧めします。

     

    悪しき慣習はいつまでも残してはいけません。

     

     


    <国税不服審判所 (平5.7.9、裁決事例集No.46 87頁)>
    法人税法では、宗教法人を含む公益法人等に対する法人税の課税について、法人税法第7条《内国公益法人等の非収益事業所得等の非課税》において、収益事業から生じた所得以外の所得については法人税を課さないこととするとともに、公益法人が行う不動産貸付業にあっては、法人税法第2条第13号及び法人税法施行令第5条第1項第5号への規定により、主として住宅の用に供せられる土地の貸付業で、その貸付けの対価の額が低廉であることその他一定の要件を満たすものについては、収益事業課税の対象となる不動産貸付業から除外することとされている。

     

    <法人税法施行令>
    (収益事業の範囲)
    第5条 法第2条第13号(収益事業の意義)に規定する政令で定める事業は、次に掲げる事業(その性質上その事業に付随して行われる行為を含む。)とする。
    5.不動産貸付業のうち次に掲げるもの以外のもの
    ヘ 主として住宅の用に供される土地の貸付業(イからハまで及びホに掲げる不動産貸付業を除く。)で、その貸付けの対価の額が低廉であることその他の財務省令で定める要件を満たすもの

     

    <法人税法施行規則>
    (住宅用土地の貸付業で収益事業に該当しないものの要件)
    第四条  令第五条第一項第五号 ヘ(不動産貸付業)に規定する財務省令で定める要件は、同号 ヘに規定する貸付業の貸付けの対価の額のうち、当該事業年度の貸付期間に係る収入金額の合計額が、当該貸付けに係る土地に課される固定資産税額及び都市計画税額で当該貸付期間に係るものの合計額に三を乗じて計算した金額以下であることとする。

     

     

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