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相続関連の記事一覧

  • 「慎重な相続対応」

    カテゴリー:相続関連 2014年7月1日 記事番号:929

    先日に遺留分減殺請求の資料向けの鑑定評価の照会を頂いた税理士の先生から、先ほどお電話頂き「お見積もり有難うございます、相続発生時にお願いしますね」と。


    なんだ、そうか。

    まだ相続発生してなかったんですね。

    生前から「遺言書対応」を考え始めるって随分準備の早いことですね!


     (注)「遺留分減殺請求」は法定相続人が自身への遺言書により指定され

        た相続分が法定相続分の1/2より少ない場合に、その増額を求めて

        訴えを起こすものです。もちろん相続発生後に行うものです。



    最近、そういうご照会を幾つか頂きます。
    相続人の方も税理士の先生方も、相続に関しては慎重な対応を考えてらっしゃるようで、相続発生前から検討を始めてらっしゃいます。


    税理士等の士業の先生経由での照会で、個人の方の不動産に関しては基本的に無料相談を受けるようにしています。見積書を作成する場合も有りますが、「だいたいこの位の価格になると思いますよ」までは簡単な調査で回答した上で鑑定報酬の見積もりを出すので、殆どの方はそれで良いようです。


    ただし遺留分減殺請求や、相続税基礎価格の算定(特に広大地や崖地や路地状地等の難しい不動産)など、不動産価格の主張に対して相手がある場合には、必ず鑑定評価報告書が必要になりますので、依頼を受けた場合には十分な調査を行った上で、鑑定評価報告書を作成させて頂きます。


    不動産の価格について争いが生じた場合には、鑑定評価書の出来・不出来が勝負の分かれ目になります。価格主張で争う必要がある場合には調査分析能力の高い不動産鑑定士に依頼することが重要です。でないと簡単にひっくり返されてしまいます。


    注:写真はミャンマーのバガンで昨年に撮影した日没写真です。

  • 不動産相続の留意点(4) 「外階段でも同居になった!」

    カテゴリー:相続関連 2013年2月9日 記事番号:913

    先月にお話しした「内階段は同居でない」というお話しは、

     

    実はその直前に元国税の税理士の方に確認してから書いたものでした。

     

     

     

    最近、何人かの税理士の方のメルマガで「平成25年税制改正大綱で外階段でもOKになった」というお話しがされてるのに気づきましてね、

     

    その元となったのがこの発表です。

     

    http://www.jimin.jp/policy/policy_topics/pdf/pdf085_1.pdf

    この45ページに以下の記載があります。

     


    小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例について、次の見直しを行う。
    ① 特定居住用宅地等に係る特例の適用対象面積を330 ㎡(現行 240 ㎡)までの部分に拡充する。
    ② 特例の対象として選択する宅地等の全てが特定事業用等宅地等及び特定居
    住用宅地等である場合には、それぞれの適用対象面積まで適用可能とする。
    なお、貸付事業用宅地等を選択する場合における適用対象面積の計算については、現行どおり、調整を行うこととする。
    ③ 一棟の二世帯住宅で構造上区分のあるものについて、被相続人及びその親族が各独立部分に居住していた場合には、その親族が相続又は遺贈により取得したその敷地の用に供されていた宅地等のうち、被相続人及びその親族が居住していた部分に対応する部分を特例の対象とする。
    ④ 老人ホームに入所したことにより被相続人の居住の用に供されなくなった家屋の敷地の用に供されていた宅地等は、次の要件が満たされる場合に限り、相続の開始の直前において被相続人の居住の用に供されていたものとして特例を適用する。
    イ 被相続人に介護が必要なため入所したものであること。
    ロ 当該家屋が貸付け等の用途に供されていないこと。
    (注)上記①及び②の改正は平成27 年1月1日以後に相続又は遺贈により取得する財産に係る相続税について適用し、上記③及び④の改正は平成26 年1月1日以後に相続又は遺贈により取得する財産に係る相続税について適用する。

     

     

    まさに問題の外階段の話が出てます。

     

    国税が言ってた「同居とは生活の場を共にすること」という要件をスッキリ抜いて、

     

    まさに骨抜き(笑)

     

     

    まぁいいですけどね。

     

    官僚は「有るべき論」の理屈で物事を決め、

     

    政治家は「情で全てを決める」方々ですから、

     

    あまりに多かったんでしょうね、この外階段の反対が。

     

     

     

    と言う事で平成26年1月1日以降の相続ではこの要件が適用されます。

     

    もちろん平成25年12月31日までの相続には従前の要件が適用されます。

     

    今年中に相続が起きたら「内階段がないとダメ」なんですよ!!

     

     

     

    それと介護ホームに居住の実態を移してしまった方にも、

     

    平成26年1月1日以降は「居住」が認められることになりました。

     

    今年いっぱいはダメです。

     

     

     

    色々ありますね~

     

    理屈じゃないんですね。

     

    ちなみに基礎控除が今の4割引きになるのは平成27年1月1日からです。

     

    平成26年中の相続は優遇されるんですね。

     

  • 不動産相続の留意点(3) 「同居の判断と内階段」

    カテゴリー:相続関連 2013年1月19日 記事番号:903

     Aさんは御主人を5年前に亡くされて、今は一人息子の長男夫婦と一緒に住んでます。
     今の家は15年前に建替えたもので、Aさんのご主人名義の土地にあった前の家を取壊し、賃貸住宅で暮らしていた長男夫婦を呼んで二世帯住宅として建替えたものです。建物はご主人と息子が建築費を出しあって、1階はご主人名義、二階は息子名義で登記されていました。

     

     今の家を建てるとき、Aさんは長男のお嫁さんに遠慮して、「完全に二世帯を分離した家を建てましょう。」と提案され、長男夫婦は二階に、Aさん夫婦は一階に住むことにして、二階は専用の外階段を設け、門も玄関も一階と二階とで各々独立専用したものとしました。

     

     Aさんのご主人は5年前(平成19年)に亡くなり、相続が発生しました。Aさんのおうちの敷地は66坪(約220㎡)あり、小田急線の東北沢から徒歩10分ほどの閑静な住宅地にあったため、敷地の相続税課税標準額は1億円を超えていました。
     しかしこの時は「租税特別措置法第69条の4《小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例》」により、課税標準額の80%減額が適用され、実際の査定額は約2000万円ほどになりました。Aさんのご主人は株式投資を多くされており、保有株の残高が1億円を超えていたため、自宅敷地を含めた総相続財産が1億4千万円ほどになっていました。
     総相続財産の中で現預金が殆どなかったため、Aさんは「相続税法19条の2(配偶者の相続税の軽減)」による配偶者の1億6千万円までの基礎控除を利用することにしました。このためご主人の相続の際には相続税は払う必要がありませんでした。敷地は全てAさんが相続して、登記もAさん名義に変更しました。

     

     ご主人の相続後には保有株式を少しずつ工夫して息子や嫁や孫達の名義に変えていき、相続対策を行ってきました。

     

     Aさんは平成24年に亡くなりました。

     この時の相続財産は、Aさんが単独相続した敷地と、生前贈与し切れなかった株式等(時価4000万円)でした。そこで息子さんは5年前と同じように、敷地については「小規模宅地の特例」を前提とした80%控除の計算をして納税申告しました。路線価が平成19年当時から下がっていたので、敷地の課税標準額は9000万円でしたが、80%減額で1800万円になると考え、株式等と合わせた総相続額は5800万円であるとして、基礎控除(5000万円+1000万円×法定相続人数)の6000万円以下なので非課税であると申告したのです。

     しばらくしてから国税庁から「過少申告の更生」指示の連絡が来ました。

     内容は以下の通り。

      ・今回の申告で適用を申請されている措置法69条の4は適用できない。

      ・80%控除は適用されないので、相続額は1億3千万円であり、基礎控除を

       除く課税対象額は7000万円である。

      ・課税対象額7000万円の30%(700万円は控除)の1400万円と延滞税を

       指定期日までに支払いなさい。


     なぜこのようなことが起きたのでしょうか。

     それは措置法69条の4の適用要件の厳格適用が平成22年4月1日から行われるようになったからなんです。

     

    <措置法69条の4>

      個人が、相続又は遺贈により取得した財産のうち、その相続の開始の直前

      において被相続人等の事業の用に供されていた宅地等又は被相続人等の

      居住の用に供されていた宅地等のうち、一定の選択をしたもので限度面積

      までの部分(以下「小規模宅地等」といいます。)については、相続税の課税

      価格に算入すべき価額の計算上、一定の割合を減額します。この特例を小

      規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例といいます。


     ここで被相続人等とは、被相続人又は被相続人と生計を一にしていた被相続人の親族をいいますが、平成22年4月1日からこの「被相続人と生計を一にしていた被相続人の親族」の要件が厳格適用されるようになったのです。

     

     Aさんは良かれと思って完全分離の二世帯住宅を建てましたが、そのために息子さんは「生計を一とする被相続人の親族」ではなくなってしまっていたのです。そのため小規模宅地の軽減特例を受けることが出来なくなってしまっていたのです。


     さて、この話は近所に広まり、同様の規模、年齢層の二世帯住宅居住者達は大騒ぎし始めました。Bさんはご主人を4年前に亡くして、Aさんと同じように息子家族と完全分離の二世帯住宅に住んでました。Bさんは病みがちで入退院を繰り返しており、Bさんの息子さんはAさんの話を聞いて「こりゃ大変だ、何とかしなければ」と思うようになりました。

     

     色々調べていたら、東洋経済誌の7月号に「内階段を作れば大丈夫」という記事が出ていました。そこで早速建築士に見て貰って内階段を追加できないか相談しました。
     建築士は「元々の設計で内階段を考慮した作りになっていないので、内階段を作るためにはどこかの部屋をつぶす必要がある」ということでした。Bさんの息子さんはBさん亡き後には1階を賃貸で貸して家賃収入を得ようと密かに考えていました。そのため「部屋を潰す様な大がかりな工事はしたくない。それに相続が終わったら内階段なんて取っ払ってしまわないといけない」と考えて、知り合いの工務店に相談した結果、写真のような上下開閉式の階段を居室の一部に取り付けて、税務署に「内階段はある」と主張することに決めました。

     

     療養の甲斐なく、Bさんは亡くなり、Bさんの息子さんはもくろみ通り「内階段によって同居親族であることが主張できる」と考えて、小規模宅地の軽減特例を前提に相続税申告しました。
     

     思ったより早く税務調査が入り、なんということでしょうか、

     税務署に「同居」を否認されてしまい、軽減特例適用が出来ないと言われてしまったのです。


     税務署の見解は「被相続人と生計を一にしている同居の親族」とは、日常的に生活の場を共有していることが要件である、という事でした。少なくとも食事を一緒にするなどの共同生活の体がなされてないと同居の親族とは言えず、外形的には「容易に行き来できる屋内の通路を存している」ことが必要であるという判断でした。
     このため、Bさんの息子さんが慌てて取り付けたような開閉式の階段は、外形的には梯子であって日常的に行き来する通路ではない、という判断をされてしまったのです。


     相続にはいろいろな知識が必要です。
     特に不動産の関わる相続については、税理士だけでなく不動産の専門家の判断や助言が重要となります。不動産鑑定士は相続税路線価を決める役割も担っておりますが、「不動産相続の留意点(2)」で説明しましたように、個別の不動産の価格については、都度、不動産鑑定士による鑑定評価を行うことで、間違いのない、損をしない相続が可能となるのです。

  • 不動産相続の留意点(2) 「不整形地には気をつけて」

    カテゴリー:相続関連 2013年1月8日 記事番号:900

    相続不動産が長方形や正方形で、幅員4m以上の道路に等高に十分な間口で面しているのならば、何も悩む必要はありません。特に50坪~60坪の宅地で自宅の敷地として利用しているのならば、「居住用小規模宅地の特例」適用要件さえ気を付けていれば、おそらく不動産鑑定士が腕を発揮する機会は少ないと思います。

     

    と言いますのも、

     

    そうした整形で道路付きの良い宅地は、

    通常は減価要因が無くて税務主体と争う余地が少ないからです。

     

    しかし、不整形地では話が違います。

     

    不整形地の場合は減価度合いに個別性が強く、

    不動産鑑定評価に依る価格と、税務主体の査定する価格に、

    差異が生ずる場合が多くなるのです。

     

    ここで気を付けなければならないのは「不動産鑑定評価」とは何かと言う点です。

    国土交通省が定める"不動産鑑定評価基準"では

    「不動産の鑑定評価とは、現実の社会経済情勢の下で合理的と考えられる市場で形成されるであろう市場価値を表示する適正な価格を、不動産鑑定士が的確に把握する作業」とされています。

     

    「市場価値」というのがキーワードです。

    すなわち不整形地が市場でどのように評価され、取引額にどのように反映されているかを実証的に調査し、的確に判断した価格を示すことが重要なわけです。

     

    実例を示してご説明しましょう。

    写真は不整形地に分割分譲された事例を示します。

    元々は間口1×奥行2の長方形で80坪弱の宅地でしたが、これを戸建開発業者が不整形地2区画と整形地1区画の3画地に分筆し、建売と宅地分譲したものです。

    不整形地には木造二階建てが建ち、整形地には木造三階建てが建築中です。

     

    この整形地(4-6)と不整形地(4-19、4-20)とでどの程度の価格差が出ると思いますか?

     

    (1)市場での取引事例

     

     この事例の場合の実際の取引額を以下に示します。

      事例地(4-6)  550,000円/㎡(間口7m、奥行11m)

      事例地(4-20)   360,000円/㎡(間口2.5m、奥行22m)

     

     すなわち不整形による減価割合は以下の通りです。

      1-360000/550000≒0.35

     

     市場ではこのような不整形地では整形地に比べて35%も低い額でしか売れていないことがわかります。

     

     

    (2)税務主体による査定の場合

     土地に対する相続税の課税標準額を査定する方法は、「財産評価基本通達」に定められた全国統一基準による査定になります。地域性の反映の一切ない、日本どこでも同じ査定式での計算によって、路線価に対する補正計算による課税標準額が計算されることになります。

     http://www.gyosei.co.jp/home/pickup/3180019/zeiroku_tsutatsu/a00za27601.html

     

     計算方法は単純です。

     正面路線価に地積を乗じて、以下の補正を行うものです。

      ①側方路線価加算

      ②間口狭小補正

      ③不整形地補正(奥行補正または影地補正)

      ④無道路地補正

      ⑤崖地補正

      ⑥容積率補正

      ⑦私道負担率補正

     

    この事例の場合、事例地(4-6)は整形ですので補正なしですから、ここが基準になります。事例地(4-20)が不整形地ですので、この補正が問題となるわけです。

     

    事例地は中間画地、前面に舗装区道(幅員4.2m)、用途地域は準工業地域、容積率300%、建ぺい率60%の防火地域です。このため①④⑤⑥⑦は無関係で、②と③だけが関与します。

     

    間口は4m未満なので前記通達の付表6より 補正率は0.90です。

    不整形地補正は奥行長大か影地割合のいずれか有利な方とされています。

      奥行長大補正(付表1)では1.00

      影地割合補正(付表5)では0.94  ←こちらを採用

     

    よって補正率は以下の計算で求められます。

      1-0.90×0.94≒0.15

     

    すなわち本事例地の場合、税務主体による査定では、不整形地は整形地に比べて15%しか安くならないのです。

     

    (3)差異発生の原因

    どうしてこのように差異が出ると思いますか?

    それは単純に言えば「財産評価基本通達」が一律の査定しかできず、不動産の地域性や個別性を加味していないからなのです。

     

    具体的にこの事例について説明します。

    まず整形地(4-6)と不整形地(4-20)において、路地状部分を除く敷地の間口は、各々7mと6mで、不整形地の方が間口が狭いために建物間取りの制約が多くなりますが、それだけではこの価格差は説明できません。

     

    一番の問題は、この地域は指定容積率が300%で、前面道路幅員の制約による基準容積率は252%です。この容積率ならば準耐火建築による三階建てが可能ですが、不整形地では現実的には三階建てが困難です。

    三階建てでは建築基準法施行令第126条6の「進入口の確保」が必要です。間口4m以上の接道があればベランダ等で代替進入口として建築確認を受けることができますが、幅員2.5mの路地状敷地では火災時に消防員が進入できる幅75cm以上の進入口を道路から見える位置に設置する必要があり、設計上の制約(専ら費用的な面が多いですが)となって、実際的には三階建てが困難になってしまうのです。

     

    せっかくの指定容積率を活かしきれない、それがこの不整形地における大きな減価要因だと考えられます。

     

    (4)不動産鑑定士の役割

    以上に示しましたように、税務主体の査定と市場評価が異なっている実態があるとき、それを税務主体に対して実証的に論証して「正しい評価額」を指し示すことができるのが不動産鑑定士による鑑定評価なのです。

     

    色々な減価要因に対して、各地域でその価格への影響度合いというのは異なります。上記のような都市計画の指定状況によっても異なります。

    繰り返しになりますが、財産評価基本通達は全国一律の計算式による査定なのです。個別性を十分に反映したものとは言えません。特に個別性の強い不整形地等に関しては一律査定では相続人に不利な査定がなされてしまう場合が多いと考えられます。

     

    そうした不利な査定を是正し、正しい市場価値に基づく課税がなされるように、不動産鑑定士の鑑定評価が必要となると考えます。

     

     

     

  • 不動産相続の留意点(1) 「息子に安く売っちゃいけないの?」

    カテゴリー:相続関連 2012年12月29日 記事番号:898

    (写真はマレーシア半島最南端ジョホール・バル市のアブ・バカール・モスク)


    相続において一番頭を悩ませるのが不動産だと思います。
    なぜならば「ウチの不動産は幾ら相続税がかかるの?」という素朴な問いに、答えてくれる人が多くないからです。

    もちろん多くの人は次の事はご存知ですよね。
     (1)土地は相続税路線価で査定される。
     (2)建物は固定資産税課税標準額で査定される。

    さらに相続セミナー等で勉強された方はこんなことまでご存知です。
     (3)借地権や貸家権が付着した不動産は割引されることがある。

     (4)広大地や崖地は割引されることがある。
     (5)居住用不動産や事業用不動産には特別な控除がある。

     

    この辺りまではおそらく多くの方々がご存じだと思います。

    でもね、実はこれだけでは十分ではないのです。

    不動産相続において留意すべき基本的な考え方は以下の通りです。
     ①相続財産(不動産)を減らす。

     ②相続財産(不動産)の価値を低める。

     ③控除適用を目一杯受ける。

    こうした三点の考え方を使い、専門職業家としてお客様のことを一生懸命に考えてあげれば、本当はもっと「戦える余地」があるんです。その点を何回かに分けてご説明したいと思います。


    今日はその第一回として相続財産を減らすために最初にやるべき「贈与」について説明します。



    「息子に安く売り払っちまったら良いんじゃないの?」

     

     おそらく相続を考えられる方の多くは、素朴にこの疑問を持つと思います。
     これって父親(被相続人)の相続財産は減らせるし、息子(相続人)に財産を簡単に渡すことができますよね。極端な話、「1円譲渡」だって贈与じゃない、売買(有償譲渡)だ」って言えますよね。昔1円入札なんてことがありましたっけね(笑)
     もちろん皆さんは「贈与だったら贈与税がかかるけど、あげるんじゃなくて売るなら税金はかからないよね」と思われる方もいらっしゃると思います。でもこれには問題があります。
     ①有償譲渡の場合には譲渡者が受領した譲渡代金に所得税がかかります。

     ②「安く売る」と低廉譲渡と認定され、時価との差額は「贈与」とみなされます。

     

     このうちの①は仕方ないですよね。だから「安く売る」ってわけですから。

     では②はどうなんでしょう。

     

     皆さんに質問です。

     「安く」って言うのは相対的な言葉です。
     高い安いは基準がなければいけませんが、その基準は何だと思いますか?

     

     (選択肢1) 課税通知書に記載された価額である。

     (選択肢2) 相続税路線価より査定された価額である。

     (選択肢3) 当該課税時期における通常の取引価額である。

     

     選択肢1は不動産売買で固定資産税の清算の際に使う「課税証明」に記載された額であり、これをもとに登録免許税や取得税が決まります。課税主体は自治体ですから、贈与や相続を所掌する国税が使う数字ではないですね。だからこれは誤りです。

     選択肢2は国税が毎年出してる金額だし、常識的に言えばこの金額で取引したらなんでいけないの、ですよね。常識ある方なら100人が100人そう答えると思います。相続税路線価は公示価格の8割程度で決まっているし、バブルの頃は公示価格の上昇が市場価格の上昇に追いつかず、結果的に相続税路線価が市場価格よりかなり低い金額で定まっていた時代がありました。

     その当時に流行ったのが、この「相続税路線価での譲渡」でした。

     あまりにそうしたケースが増えたため、国税は次の通達を出しました。

       国税庁通達 直資2-204 「負担付贈与又は対価を伴う取引により取得し

       た土地等及び家屋等に係る評価並びに相続税法第7条及び第9条の

       規定の適用について」

     http://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/tsutatsu/kobetsu/sozoku/890329/01.htm

     

     この通達によって、「時価とは、不特定多数の当事者で⾃由な取引が⾏われる場合に通常成⽴すると認められる価額、すなわち、客観的な交換価値をいうもの」とされました。その後は路線価譲渡は低廉譲渡であるとして国税が勝ち抜いてきたんですが、バブルも弾け、地価下落が常態化した中でいつまでも「時価>相続税路線価」とは言えなくなってきました。

     

    とうとう裁判所も面倒になったんでしょうか。
    「路線価で十分だ。国税もいちいち面倒なことを言うな」とばかりの判決を出しました。それが東京地裁平成19年8月23日判決・判タ1264号184頁で、「公示価格の8割で出してる路線価であり、年に2割くらいの変動はあるんだから、路線価で売買したから不当廉価とまでは言えない」と判決しました。

     

    ということで、現状では(選択肢2)でOKと言うのが主流となっているようです。

     

    しかしここにはまだ問題があるのです。

    相続税の査定で問題になるのが路線価による査定方法。

    特に旗竿地での減価割合が少なすぎるのが問題です。

     

    不整形地の場合、国税の査定価格では市場では売れません。

    だとすれば路線価でも高いのです。

     

    だから答えは(選択肢3)であり、特に不整形の土地を所有されている方は「通常の取引価額」を把握した上で対応を考えられるべきです。この価額を決定できるのは不動産鑑定士による不動産鑑定評価書だけです。

     

    以上、冒頭で書きました「ウチの不動産は幾ら相続税がかかるの?」という素朴な問いに答えてくれる人、すなわち「息子に最も安く売ってよい価格を出せる」のは不動産鑑定士という事をお分かりいただけたでしょうか。


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